たとえば、日本製の高級化粧品を爆買いする中国人富裕層に聞いてみると、「日本製で品質が保証されているなら価格は関係ない」と強調するわけです。

 ここで冒頭で述べた大塚親子の和解の話が関係してくるのですが、今回、大塚久美子社長が和解のきっかけとして打診したのは、日本の伝統家具メーカーの団体をつくり、そこで日本の高級家具の価値やブランドを高めて行く活動をしようというものでした。

 日本には非常に優れた家具メーカーや家具職人がいるので、その実力を安売りせずに中国にもっとアピールできるよう、業界の環境を整備していこうという考えでしょう。大塚家具の新しい戦略が明確に示されている上に、その方向性が一貫しているわけです。

会社は一緒にならないが
将来の父娘和解は期待できる

 この一連の取り組みが成功すれば、(1)「大塚家具の業績を回復させることができるのか」という質問に関して言えば、「2、3年後には意外と回復路線に戻る可能性があるかもしれない」といえる状況になってきます。

 しかしその上で、(2)「勝久社長が率いる匠大塚が大塚家具を救済したり、会社が一緒になったりするというシナリオはあり得るのか」といえば、それはないと思います。

 というのは、匠大塚は勝久社長の資本で小ぶりながらも成功企業である一方、大塚家具は今では中国資本によって回復を狙う企業になっているというように、お互いの立場が変わっているからです。出自は同じ大塚創業家の企業でも、今や資本の論理は国を超えて違うものになっている。だから、一緒になることはもうあり得ないわけです。

 では、(3)「大塚勝久・久美子親子は和解できるのか」という点についてはどうでしょう。他人の家の問題なので、第三者が口を出すような話ではないとは思いますが、今回の歩み寄りの提案を拒否したのは、感情的な話よりも、そもそもの提案内容を勝久社長が是々非々で判断した結果のように思えます。関係修復の時期ではないから、断ったわけではないと思います。

 将来の期待としては、大塚久美子社長の現在の取り組みが一段落して、久美子氏が社長という立場を離れた段階で、何らかの進展があるのではないか。いや、進展があるといいなと思うし、むしろその可能性は十分にあると思うわけです。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)