最近、さまざまな生物の“ざんねん”な生態や習性が取り上げられ、話題となっています。その一方で、私たちの人体にも、実は残念な現象が多々起こっているのです。たとえば、「タンスの角に足の小指をぶつけてしまう」「電車内でつい、うたた寝をしてしまう」など、心当たりがある人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、テレビにも多く出演している工藤孝文先生の最新刊『医者も驚いた!ざんねんな人体のしくみ』(青春出版社)から、そんな人体にまつわる残念な習性や意外な事実について紹介します。
電車でつい、うたた寝をしてしまうのはなぜ?
安全な国ニッポンでは、電車で居眠りしている人をよく見かけます。気がついたら下りる駅を乗り過ごしてしまったという失敗は、多くの人が経験していることでしょう。
私たち人間が電車でつい眠くなってしまうのは、脳の中で平衡感覚を感知する部分と、覚醒に関わる上行性網様体賦活系という神経系統のしくみが大いに関係しています。私たちの身体は、強く素早く揺れると、その情報が上行性網様体賦活系を活性化し、脳を覚醒させるしくみになっています。しかし、ゆっくり単調なリズムで揺れると、上行性網様体賦活系の働きが弱まり、自然と眠くなるようにできています。