忘れてはならないのは、生活保護世帯の少なくとも70%が高齢者・障害者・傷病者世帯であり、一般より医療ニーズが高いことだ。傷病者の中には、がんなどの難病に罹患したことが契機となって職業と収入を失い、生活保護以外の選択肢を失った人々も含まれる。必然的に、先発医薬品しかない疾患の罹患率も高い。だから、生活保護受給者にジェネリック医薬品を選べない場面が多くなるのは自然だ。

 しかし、政府が劣等処遇をしたいと考えているのなら、「医療費がタダだから、ご近所さんの分まで湿布薬の処方を受けて配る生活保護受給者の高齢女性」といった例に世間を注目させ、「許せない」という世論を喚起し、抵抗を受けずに「後発医薬品を優先」「後発医薬品が原則」という条文を法律に含めるだろう。これは、2013年と2018年の生活保護法改正の直前、実際に見られた現象だ。

「生活保護でも大学へ」という動きは、「劣等処遇」があからさまになっていく時期に、並行して行われた。とはいえ厚労省としては、堂々と「生活保護なら大学に行かないでほしい」とは言いにくかったはずだ。

 その「口にチャック」は、ついに壊れてしまったようだ。

高校進学と何が違うのか
大学進学はもうゼイタクではない

 ここで改めて考えたいのは、「大学等への進学はゼイタクなのか」ということだ。

 かつての大学進学は、能力または環境や経済力に恵まれた、一部の子どもたちの特権だった。しかし現在、大学等(短大や専門学校を含む)への浪人を含む進学率は、すでに80%を超えている。もはや「行くのが普通」と考えるべきだろう。

 生活保護の過去の歴史の中には、全く同じシチュエーションがあった。1970年、生活保護のもとでの高校進学が、厚生省の通知によって認められたときだ。この年、高校進学率は80%を超えた。高校進学が当然に近くなると、若年層の就職は高卒が前提となる。