「自立の助長」を目的とする生活保護法が、高校進学を認めないままでいると、自立を阻害することになってしまう。その観点からだけでも、進学は認めざるを得なかった。このとき、高校進学を認めた委員会の議論には、「高校まででは物足りない気もするけれども」といった文言もある。そして、高校進学を認める通知が発行された。

 それなのに、なぜ、2019年、厚労官僚は「できない」と明言することになるのだろうか。厚労省の通用門の前で待ち構え、官僚本人を質問責めにしても、納得できる回答は得られないだろう。おそらく本人も、「今、この立場にいる以上は、そう言わざるを得ない」という状況にあるはずだ。しかし、背景に「劣等処遇」があるとすれば、理解はたやすい。

 現在は、医薬品を最前線として、生活保護を「劣等処遇」の制度へとつくり変える動きが進行中だ。2013年と2018年に生活保護法が改正されただけではなく、数え切れないほどの生活保護費の引き下げや締め付けが行われている。少なくとも現政権や財務省の意向が激変しない限り、厚労省としては、大幅な脱線はできない。だから、「教育だけ劣等処遇の対象から外します」とは言えない。まことにわかりやすい話だ。

 ここで文科省が厚労省に強く反発すれば、状況は変わるかもしれない。しかし現在のところ、そういう期待を持てる状況ではない。

貧困の解消と教育は
地球規模の問題解決のカギ

 生活保護制度の「劣等処遇」化によって、日本は国際社会からの数多くの期待を裏切ることになるのだが、その1つに気候変動と地球温暖化がある。

 地球温暖化に関しては、まず「温暖化を抑止する」という合意があり、「産業革命以前プラス1.5℃」という数値目標がある。そして、二酸化炭素排出量など国レベルで達成すべき目標がある。しかし実際に実行するのは、各国の国民1人ひとりであり、各地域のコミュニティだ。