1つ目は「横隔膜を押し下げ、その結果腹を膨らませる」というイメージを持って呼吸すること。肋骨の一番下に、両手の指をそれぞれ4本あて、ぐっと押し込んでみてください。気分が悪くならないよう、くれぐれもご注意を。息を吸うときに、その4本の指を押し出すようなイメージでお腹を膨らませ呼吸します。最初は少し難しいですが、これができるようになってくると、横隔膜を押し下げる感覚が徐々に身についてきます。手のひらをお腹にあてて、膨らみを意識しながら呼吸する練習も効果的です。

 2つ目は「あくびの発声」。あくびをしたときに、自分で思うより大きい声が出てしまい、恥ずかしい思いをした方もいるのではないでしょうか。上半身の筋肉が極めてリラックスしているときの声は、実はあくびの声に近いのです。特に喉は大きく開いています。あくびをしたときを思い出し、口を思い切り大きく開ける。そのまま同じ太さのパイプが喉を通って肺までつながるような状態をイメージをしたまま、あくびのときに出る声を真似して発声してみてください。誰もいない場所で、恥ずかしがらずにやるのがいいですね。

 普段から口と喉を大きく開けて、あくびに近い声を出す意識で発声していくと、段々よく響く声が出せるようになってきます。声を出しながら、手の反動を使って上半身を左右にひねったり、前屈してみたりするのもよいでしょう。リラックスした感覚を持ったままで、声を出せるようになってきます。

「筋肉の制御」には練習が必要
腹式呼吸とあくびの喉を意識しよう

 腹式呼吸の発声は、一瞬で身につけることはできません。運動と同じで、筋肉の制御には練習が必要だからです。本格的に身につけようとすれば、試行錯誤を重ねながら、声楽の先生などに「結果として正しい発声ができているか」を確認してもらって修正していくという、地道な作業が必要になります。

 ただし、俳優や声楽家でなければ腹式呼吸の発声はできないのかと言えば、決してそんなことはありません。大きな通る声を少ないエネルギーで効率よく出せる人たちは、街中でも見ることができます。

 たとえば、街頭で献血の呼び込みをしている人。あるいは、餃子の王将(に限りませんが)で注文を厨房に通しているフロア担当の人。両者は実に良い声を出すことができています。街中の雑踏でいかに人を呼び込むか、賑わう店内でいかにオーダーを一発で通すか。そして無駄な体力を使わないか――。意図をもって声を出し続けることにより、自然に鍛えられたのでしょう。

 まずは、日常生活で常に、腹式呼吸とあくびの喉を意識して発声することを心がけてみましょう。継続は力なりです。献血の呼び込みのアルバイトをしてみるのもいいかもしれません。徐々に身につけていくことで、得るものは大きいです。ぜひ挑戦を!

(ビーユアセルフ代表 岩下宏一)