体は楽器と同じです。音が出るメカニズムをつかめば、そのことがよくわかります。体中に響かせる感覚をつかむためには、あの「マーライオン」の動作が最適です。さぁ、皆さんも、マーライオンになり切って、発声練習をしましょう。
声のビジネス研修ナンバーワンを1冊にまとめた新刊『話し方に自信がもてる 1分間声トレ』より、「1分間声トレ」を動画付きで紹介します。

ビジネスで使える声にするために、頭の空間を利用する

「体は楽器と同じ」と説明しましたが、音が出るメカニズムを知れば、そのことがよくわかります。

 たとえばギターなら、弦を弾くことによって振動した音が、ギターの空洞のなかで共鳴し、美しい音色になります。

 声もこれと同じで、横隔膜に押し上げられた空気が声帯を振動させて、その音が鼻腔・口腔といった空洞で響き、声になります。

 人の体には、咽頭、口腔、鼻腔などの多くの共鳴する空間があります。

 頭蓋骨そのものも共鳴する空間です。

 美しい声をつくるには、それらの空間で音をいかに響かせるかが大切になるのです。

鼻音で柔らかい声質をつくる

 さて、このトレーニングは、美しく響く声を出すためのトレーニングです。

 美しく響く声とは、こもらない声、遠くまで伝わる声です。

 体の内部で行われている発声のメカニズムを、「マーライオン」の動作で再現しながら発声します。

 念のためマーライオンについて説明しますと、上半身がライオン、下半身が魚の形をした像のことで、シンガポールの有名な観光スポット。口から勢いよく水を吐いています。

(1)まっすぐに立ち、左手はお腹の上に置く。
(2)右手で、「空気がお腹から出て、気管を通り、頭に響かせて口からまっすぐに出ていく流れ」(マーライオンが口から水を吐く様子)を表現しながら、
(3)「マ―――――!」と一連の動作に2秒かけて明るく声を出し、5回繰り返す。

 体中に声が響く感じがおわかりになるのではないでしょうか。

 なぜ「ま」かというと、五十音のなかでも「マ行」は「鼻音」といって、鼻に響かせて声になる音だからです。

「あ」は鼻に響きません。

 試しに鼻をつまんで「ま」と「あ」をそれぞれ声に出してみてください。「ま」は鼻に響き、「あ」は響いていないことがわかるはずです。

「体中に響かせる」感覚をつかむためには、マ行が最適というわけです。

 何回か練習することで、頭に響かせながら声を出す感覚がつかめるようになります。鼻に響かせると、柔らかく魅力的な声質になります。