2人に1人ががんになるといわれる現代。がんの中で男女を合わせると日本で最も患者数が多いのが大腸がんです。雜賀智也(著)・高橋慶一(監修)の書籍『大腸がん 最新標準治療とセカンドオピニオン』から、意外と知られていない悪性腫瘍といわれる「カルチノイド」についてお伝えします。
「ポリープだ」と思っていたら
後日、医師から告げられた病名は…
大腸の内視鏡検査をすると、ポリープが見つかることは珍しくありません。
3年半くらい前、私が胃腸科で大腸の内視鏡検査を受けた時、直腸に7mmのポリープが1つ見つかり、その場で切除してもらいました。特に自覚症状がないので、検査が終わった後も「ああ、小さなポリープがあったのね」くらいに軽く受け止めていたのです。
ところが後日、医師からこう告げられました。
「切除した腫瘍は、カルチノイドという悪性の腫瘍でした。取り残しの可能性があるのでがんの専門病院を紹介します」
ビックリ仰天です。医師から「カルチノイドはがんもどきという意味です」と説明されても、「がんに似ているけど、がんよりはタチのいい腫瘍なのだろう」と勝手に都合よく解釈し、動揺する自分を落ち着かせようとしていたのです。
みなさんは「カルチノイド」という病気をご存じでしょうか。もしかしたら、私と同じように、「がんよりはタチのいい腫瘍なのだろう」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は意外と知られていないカルチノイドについて取り上げます。