「職人の店」をうたうワークマンと異なり、ワークマンプラスは「高機能と低価格のアウトドア・スポーツ・レインウェアの専門店」と銘打った業態だ。プロ向け仕様の高機能・高コストパフォーマンスを売りにしたPB商品を、一般の人でも入りやすいような店舗で買えるようにした。今までワークマンに行ったことがなかった客が足を運んでいることがヒットの要因だ。

 「ランニングを始めたいと考えたときに、スポーツブランドで服を買いそろえると高くて手が出ない。本格的に始める前に、気軽に買いそろえられる価格帯がワークマンのPB。『初めはワークマンでいいかな』と思わせる、それが狙いです」。ワークマン商品部・チーフデザインオフィサーの北村武士はこう語る。

 ワークマンの強みは、プロが購入するような高品質な商品を低価格で提供することだ。安さを実現するためには秘訣がある。

 まず、一般的なアパレルでは、市場調査から企画、製造、発注、店舗への納入まで基本的にそれぞれの部門が縦割りで管理する。しかし、ワークマンの場合、市場調査から客の手に届くまで、北村さんを含め社内に4人しかいない商品部のMDがすべての商品の動向を掌握する。

 例えば、一つの手袋を作るのに、どんな商品をいくらで売るかを決め、どの工場でいつ生産し、いつどこでどのくらい売るかまで、MDがすべて決定し、各部門に指示して製品化している。MDは、いわばワークマンの商品づくりの「指揮者」である。彼らには絶対的な権限があるため、売れると思えばPB商品の新規立ち上げも最短3カ月で商品化までやってのける。意思決定が非常に早く、一気通貫での商品づくりができるため、タイムリーに商品を売ることができるのだ。現在、全売上高の約3割は北村さんが責任を担っている。

事前に設定した売価は“絶対基準”、超える物は作らない

 ワークマンのMDが何よりこだわるのは値付けである。市場調査を徹底した結果、設定した売価を“絶対基準”とし、その売価を超えるものは作らない。また、想定より原価が抑えられるものなら設定売価を下回る価格で販売する。

 一例をあげよう。今シーズンヒットしているワークマンのPBブランド「Field Core」の「汚れが落ちやすい耐久撥水半袖ポロシャツ」。ケチャップが表面をつるりと滑っていくとテレビで話題になった。これだけの機能を備えた商品でも、売価はたったの980円だ。