かつて全世界に9000店舗あったレンタルビデオチェーン「ブロックバスター・ビデオ」の最後の1店舗が米オレゴン州ベンドに残っている。小さなショッピングセンターに構えた店舗は、ドットマトリックスプリンターやフロッピーディスクで起動するパソコンとともに琥珀(こはく)の中に閉じ込められた過去の遺物のようだ。このような結末が必然だったわけではない。ネットフリックスは20年前、ブロックバスターに5000万ドル(現在の価値で約55億円)の身売り話を持ちかけた。だがブロックバスター幹部はむしろ、ハリウッド・エンターテインメントなど競合するレンタルチェーンの買収を目指すことにした。ブロックバスターは規模の拡大からハイテク重視へと移行する企業投資の流れを見通せなかった。欧州自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が示した仏同業ルノーとの経営統合案は、ブロックバスターの二の舞いを避けたい企業幹部の願いに突き動かされた買収・統合リストの最新の例だ。