昔は“人身売買”とやゆされたが
大手企業も優秀な学生も利用するほどに
今や学生に浸透している新卒エージェントだが、いつから存在感を増してきたのか。
サービス自体が登場したのは15年ほど前。当時から、新卒エージェント事業に携わっていたシンクトワイスの猪俣社長は当時を振り返ってこう語る。
「当時は、新卒の人材紹介なんて“人身売買だ”といわれるほどで、相手にしてくれる企業も多くありませんでした。しかし、その後、リクルートやマイナビなど大手の参入がサービスの認知度を大いに高めたといえます」
また、前出のネオキャリアの平原氏は、「新卒採用の面接解禁日が8月に後ろ倒しされた2016年卒採用のタイミングは(新卒エージェントが注目される)大きなきっかけでした」と語る。
「採用選考時期の切り替えのタイミングは、企業も(採用できるのかどうか)不安になるもの。実際、(8月面接解禁の)2016卒採用では特定の人気企業に学生が集中し、十分に採用できない中小やベンチャー企業が少なくありませんでした。そこで、わらにもすがる思いで紹介会社を使ってみるか、となったようです。実際使ってみて利便性が高いことが分かり、そのまま継続して利用されることで認知度もアップしました」(平原氏)
それに加えて、学生のクチコミによる影響も大きい。先輩から後輩へ「これ便利だよ」というクチコミと、新卒エージェント側も営業や出張カウンセリングを大学に対して行うことで徐々に認知度は高まっていったようだ。
こうした時代の変化を受けて、クライアント企業の規模は中小・ベンチャー企業中心から業界最大手の企業まで広がった。また、新卒エージェントの需要期も、「これまでは大手企業の採用が終わった後の8~3月が商戦期だったが、今では4~7月が繁忙期になっている」(平原氏)という。
「今では、最低でも大企業と同時並行のスケジュールか、あるいは6月の面接解禁を前に内定を出す企業が我々のクライアントでも増えています。多めに内定を出すことで6月以降(の内定辞退)に備える構えです」(平原氏)