周囲にはわかりにくい
吃音を巡る深い悩み

 2020年の東京パラリンピックへの注目度の高さを見ても、世の中は個性や多様性を認め合う時代に向かっていると感じる。教育現場でも、身体的な障害を持つ子どもや、ADHD(注意欠陥多動性障害)、自閉症などの障害がある子どもの教育を通常の学級で行う、特別支援教育が進められている。

 だが、吃音に関していえば、少し他とは状況が異なっているのではないか。そもそも吃音は、身体的障害なのか?振り返ってみれば、吃音は友人や仕事仲間など身近な人にもあったが、付き合いの中で相手を障害者だと思ったことはない。しかし、少なくとも読書イベントの親子には言葉の悩みは深刻だったし、これからも吃音を持つ親子と接する機会があるかもしれない。

 吃音を理解したいといろいろと調べていくうちに、1965年10月に上野で発足した吃音の社会的理解を求める「言友会」を知った。そして全国各地に広がる「言友会」の活動をつなぐ「全国言友会連絡協議会」の事務局長で言語聴覚士の資格も持つ、横井秀明さんに話を聞くことができた。

「全国言友会連絡協議会」は「吃音があっても豊かに生きられる社会の実現」を目指し、吃音を持つ子どもたちと保護者、その関係者を支援する「小中高校生の吃音のつどい」にも力を入れている。

言友会の活動で司会をする横井さん。「セルプヘルプの輪」を広げるため7月20日に神戸市で「神戸・吃音のつどい」を開催予定

 まず、子どもの吃音の特徴と、大人の対応について横井さんに伺ってみた。

「吃音には『言語症状や心理的問題が徐々に変化していく』という『進展』と呼ばれる捉え方があります。幼児の頃は言葉の繰り返しや引き伸ばしを普通に発声するため、子どもは自分が吃音かどうかの自覚が曖昧なのです。小学校低学年頃から、言葉がブロックされて出てこない言語症状『ブロック』が生じ始め、自分が吃音という認識は芽生えてきます」

「自己否定感はまだ明確ではないと思いますが、吃音に対する劣等感が芽生えはじめると、自分が言いやすい言葉にして言い換えるなどして隠そうとする『工夫』の傾向が表れます。中学生頃になると『工夫』に限界を感じて、話すことをあきらめる、やめるといった『回避』という心理的な問題が見られるようになります」(横井さん)