1つは「なぜ、クルマの安全機能に関する限定条件を最初に進めるのか?」

 もう1つは「なぜ、75歳以上で強制的に行うのではなく、選択制としたのか?」である。

 前者については、経済産業省と国土交通省が推進する安全運転サポート車(通称サポカー)を対象としている。一般的に自動ブレーキと呼ばれる、衝突被害軽減ブレーキの搭載車を指す。また、停車している状態で、クルマの前後に壁などの障害物があるとき、アクセルを大きく踏み込んでもカメラやレーダーなどのセンサーが障害物を検知し、エンジン回転数を一定の時間だけ低く抑えて急発進を防ぐ、アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置車はサポカーSと称する。

 アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置では、トヨタやダイハツが後付け装置の販売を開始するなどの動きがあり、こうした装置購入に対して東京都は購入補助の方針を固めた。

 日本でサポカーのような高度な運転支援システムが普及したきっかけは、2008年にSUBARUが「ぶつからないクルマ」として宣伝を始めたアイサイトの大ヒットである。

アイサイトの最新バージョン・ツーリングアシストの報道陣向け試乗会の様子
アイサイトの最新バージョン・ツーリングアシストの報道陣向け試乗会の様子 Photo by Kenji Momota

 当時、トヨタなど他ブランドのディーラーからは「うちもアイサイトのような装備がないと新車の販売が落ちてしまう」という声が上がり、軽自動車を含めて日本国内向けの新車では、先進的な運転支援システムの標準装備化が一気に進んだ。また、当時の富士重工業(SUBARU)のアイサイト開発の関係者は「どちらかというと、社内では“日陰”の技術領域であり、まさかこれほどブレークするとは!?」と本音を漏らしていた。

 一方、欧米や中国では、先進的な運転支援システムは高級車向けが主流で、徐々に中級車に拡大している状況だ。NCAPという衝突安全に関するアセスメントで夜間の歩行者保護が2018年からテスト項目に加わったことなどから、いわゆる自動ブレーキの搭載比率が上がっているが、アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置の標準装備のスピードは遅い。