「もう疲れすぎて家事なんてイヤ」「料理がめんどくさすぎて死にそう」──そんな悩める人たちにおすすめなのが「はじめて楽しく料理ができた!」「プロの味に救われた!」「もう献立に迷わない!」と絶賛されている伝説の家政婦・志麻さんのエッセイ風レシピ書『厨房から台所へ』と初の著書『志麻さんのプレミアムな作りおき』だ。特に『厨房から台所へ』は新聞書評で東大教授が絶賛。志麻さんの手にかかると、冷蔵庫にある食材が、ふだん食べられないプロのレシピに大変身。まさに魔法使いだ。これさえ覚えておけば、平日多忙なお父さんお母さんも、尊敬の眼差しを浴びるかもしれない。3時間で15品以上作るという志麻さん。今回は「涙が止まらなかった」と話題の『厨房から台所へ』の中から、志麻さん自ら「ローストチキンの魅力」を紹介する。(レシピ撮影:三木麻奈/著者撮影:難波雄史 初出:2019年6月23日を一部修正して掲載)

志麻さんとローストチキン秘話

【伝説の家政婦・志麻さんが語る】大人も子どもも、思わずかぶりつきたくなる!「ローストチキン」のヤバすぎる魅力とは?【書籍オンライン編集部セレクション】

 若いころ、夢中で読んだフランス文学や、休みの日には必ず1本は見ると決めていたフランス映画の中でも、食事のシーンはよく出てきます。

 戦争中の貧しさを描いた映画でさえ、屋根にとまった鳩をとって料理し、おいしそうに食べているシーンを今でも鮮明に覚えています。

 そんな食卓のシーンによく出てくるのは、ローストビーフやローストチキンなどの塊肉や大きな鍋に入った煮込み料理でした。

 ローストを切り分けるのはたいてい男性で、家族であればお父さんの役割。
 ビーフやポークであれば端っこのよく火が入ったところと、真ん中のレアな部分、チキンであればしっとりとした胸肉とジューシーなもも肉など、それぞれの好みの部位を選ぶこともできますし、チキンの場合は切り分けた後の骨に残った肉をしゃぶるのが好きな人もいます。

 大皿料理は取り分ける楽しみと好きな部分を好きなだけ食べられるよさだけでなく、一皿ずづ盛りつける手間も省けるし、洗い物も少ないという利点もあります。

 ただ私たち日本人は、オーブンを使うことに慣れていません。
 家政婦の仕事でいろんなお宅へ伺うと、ほとんどの人がオーブンレンジを持っていますが、オーブンを使いこなしている人は少ないものです。

 反対に、日本で暮らしているフランス人たちは「日本にはどうしてオーブンがないのか」と口をそろえて聞いてきます。

 彼らにとってオーブンレンジはオーブンではないようです。
 ローストや焼き菓子だけでなく、煮込み料理でさえオーブンを使うくらいですから、オーブンを使わない日はないといっていいくらいです。

 使い慣れていない私たち日本人にとって火加減や時間など難しいように思いますが、家庭のオーブンにもそれぞれクセがあり、レシピどおり焼いてもうまくいかない場合もよくあります。

 実際に私自身が使っているオーブンは小さいので、丸鶏でローストチキンをつくると、上のほうが焦げてしまったり、火が入りすぎてしまったりします。

 それでも、レストランではないので、完璧な火入れをしなくてはいけないわけではありません。

 友達を呼んでパーティをするときには、よくローストチキンをつくります。

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 また、フランスに比べて丸鶏がなかなか手に入らないという点でも、わざわざ丸鶏を見つける必要はなく、骨付きのもも肉や骨なしのもも肉、胸肉、もしくは手羽元など、普段はフライパンで焼いてしまうようなお肉でも、同じようにオーブンで焼いてみると、また一味違った仕上がりになります。

まずは、慣れてみてください

 まずは、オーブンを使うことに慣れてみてください。
 オーブン料理は入れてしまえば手が空き、その時間にほかの料理をつくれたり、洗濯や子どもと遊ぶ時間などもできてとても楽になります。

 慣れないことをするのはおっくうですが、使い慣れるといいことばかりです。
 最近のオーブンレンジは高機能で、ボタンひとつでいろんな料理が上手にできるものがありますから、そんな機能も活用するといいと思います。

 この週末は、『厨房から台所へ』で紹介したローストチキンを、ぜひつくってみてください(実は『厨房から台所へ』の表1のオビにある写真はこのローストチキンです)。

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