NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」など、テレビで話題沸騰の「伝説の家政婦」志麻さん。
あの志麻さんが、初めて書きおろした料理エッセイ・レシピ本、『厨房から台所へ――志麻さんの思い出レシピ31』が発売たちまち重版となり、話題沸騰中だという。
レシピの背景にある波乱万丈のエピソードとともに、調理のコツも凝縮。ふだん家で食べたことのない「フランスのママン直伝のキッシュ」「梨リングフライ」「龍馬チョコレート」は絶品。さらに、「母の手づくり餃子」「おばあちゃんのお煮しめ」「けんちょう(山口の郷土料理)」のなつかしの味から、「ゆで鶏のシュープレームソース」「豚肉のソテーシャルキュティエールソース」「子羊のナヴァラン」「ローストチキン」などのフランス家庭料理、「フォンダンショコラ」「カトリーヌ先生のそば粉のクレープ」などのデザート、1歳の息子お気に入りの「鶏手羽元のポトフ」まで、実に多彩なレシピがあるという。
「3時間で15品」など、これまでのイメージとはまったく違う志麻さんが、あなたの前に突如、出現するかもしれない。
今回、担当編集者が本書の撮影をした名カメラマン・三木麻奈さんを直撃。今回から3回にわたりレポートをお届けする。
志麻さんとの初めてのお仕事で何を感じたか。その実像に担当編集Tが迫った突撃対談レポート【パート1】をお届けしよう(撮影・三木麻奈、取材/文・寺田庸二)。

伝説の家政婦・志麻さんは<br />「通常の料理家とは<br /> 真逆の第一印象」<br />百戦錬磨の料理カメラマンが<br />こっそり明かす。

志麻さんの第一印象は
普通の料理家とは真逆?

編集:三木さんは、これまでかなりのレシピ本、料理エッセイなどの撮影をされていますね。先日スケジュールを拝見しただけでも、ぎっしりでびっくりしました。
 そんな百戦錬磨のカメラマンの三木さんに、伝説の家政婦・志麻さんの初エッセイ・レシピ本、『厨房から台所へ』の裏話を聞ける機会と聞いて今日はワクワク感いっぱいで自由が丘まできました。
 志麻さんとのお仕事は初めてということでしたが、志麻さんの第一印象はいかがでしたか?

三木:もの静かな、柔らかな方、という第一印象でした。

編集:初めてお会いしたのは、志麻さんの古民家風の自宅でしたね。撮影が始まる前に、三木さんをはじめ、デザイナーさんなどが初めて集まった。私も三木さんとは初めてのお仕事。デザイナーさんとも初めて。すべてのキャストが初対面、という私自身今までない状況で、これはどうなるのかな、とワクワク感とドキドキ感でいっぱいでした。
 ある意味、知らない者同士が初めて志麻さん邸に集まり「結団式」のような「決起集会」のようなミーティングでしたね。あの時、三木さんは、どんなお気持ちだったんですか?

三木:数多くの料理家の皆さんとお仕事をご一緒してきて、いろいろなタイプの方とお会いしました。料理研究家とは、メディアという世界から食を発信する独特の存在です。「はじめまして」のご挨拶の瞬間から、料理人であると同時に著名人としての雰囲気を感じます。ですが、志麻さんに初めてお会いした時には、真逆の印象を受けたんです。

編集:真逆の印象? どういうことですか?

三木:志麻さんは、毎日のようにテレビでお見かけするような著名人であるにもかかわらず、そういうご自分に対して気張ったり、人に緊張感を与えることがまったくない。通常のテンションを常に保っておられる。テレビで見る志麻さんと初めてお会いした志麻さんが同じ印象でした。これだけ短期間に、あっという間に有名になった方なのに、プライベートもお仕事も、常に同じモードなのだと知って驚きました。

編集:なるほど。確かに、志麻さんは、いつお会いしても自然体……。

三木:初対面の私に緊張感をまったく抱かせないたたずまいは、きっと誰に対してもそうなのでしょうね。そのおかげで初めてお仕事をご一緒する現場で、不安や緊張を一切感じず、とてもスムーズに撮影に入って行けて、本当にありがたいと思いました!