では、手段はどうでしょうか。最適な手段を考えるには、根本的原因を発見する必要があります。根本的原因とは、問題を引き起こしている大もとのことです。
咳をしている患者に、単に咳止めを処方するのでは、表面しか見ていないことになります。咳の原因について考えなくてはいけないのです。風邪なら放っておいても治りますが、肺炎なら抗菌薬が必要です。
根本的原因を見つけるには、これくらい突き詰めて考えなくてはいけません。
根本的原因の見つけ方
根本的原因を見つけるにあたって、知っておくべきことがあります。
それは、「どんなものにでも、ほかのものと共通する性質や特徴を見つけることができる」ということです。一見、違うもののように思えても、何かしらの共通点によって「束(たば)」にすることができるのです。
たとえば、「白、黒、黄について思うことを述べよ」という小論文のお題があったとします。この3色を見て、みなさんはまず何を思い浮かべますか。単純に赤、緑、青のような「色」と捉える人もいるでしょう。その場合、色彩という意味での「色」という共通点でくくることになるので、「白と黒は無彩色であり、黄は有彩色である」なんて文章を書くかもしれません。
一方、同じ色でも「人間」の肌の色の違いを表していると解釈した場合、おそらくは人種を取り巻く諸問題にまで考察が及ぶでしょう。
どのような共通点でまとめるかは自由なので、どちらが正解ということはありませんが、前者は「色」、後者は「人間」が持つ性質がテーマとなり、内容はまったく異なります。ある共通点で束にするということは、その共通点が持つ性質を、具体的な個々の物事に適用し、ほかと区別できるようにするということです。
日常生活で耳にする「同じ人間だからわかり合えるはず」「社会人として許されない」「日本人は引っ込み思案だ」などの表現がいい例です。それぞれ、「人間」「社会人」「日本人」という概念でひとまとめにすることで、「○○だからこうした性質が当てはまるはずだ」と一般化し、議論しやすくしているのです。