職場で理解を得る「伝え方」
【Case4】子どもが熱を出し、会社を早退しなければならない
子どもが小さい頃は、頻繁にいろいろな病気にかかるものです。そして、ママが保育園から「熱が出た」と仕事中に呼び出されることに。
子どものことは心配、でも業務の途中で早退するのは同僚に悪い…と考えると、なかなか言い出しづらいものですが、思いきって
×「すみません。早退しなければならないので、仕事の続きをお願いできませんか?」
とお願いされると、受け手は「面倒なことをおしつけられた」という印象を持ってしまうかもしれません。もちろん断る人はいないでしょうが、相手に「やらされた感」を与えてしまう恐れがあります。こんなときは、このように伝えてみてください。
〇「いつもフォローしてくれてありがとうございます。今日の借りは倍にしてお返しするので、直子さんが有給休暇を取りたいときは私に任せてください!」
これは、「感謝」「相手の好きなこと」を使った伝え方です。まず「ありがとう」と感謝されると、人は「相手との距離がぐっと縮まった」と感じ、お願いに対してノーと言いにくくなります。さらに、「今日の借りは倍にして返す」と言われると、嬉しく感じますよね?「今回は私が引き受けてあげよう」と快く応じてくれやすいでしょう。
【Case5】在宅勤務を認めてほしい
働き方改革推進を受けて、在宅勤務を取り入れる企業が増えています。小さな子どもがいる場合、会議や来客の予定がない日は自宅で仕事ができると、かなりの負担軽減につながりますよね。ただ、ルール化されていない、制度はあるものの根付いていない…という企業も、まだまだ多いようです。
そんなとき、ストレートに
×「在宅勤務を認めてください!」
と上司に進言する方法もありますが、「会社のルールだから」「前例がないから」などとあっさり返されてしまうかもしれません。
そんなときは、こう伝えてみてください。
〇「通勤にかかる2時間で、企画書を1本書くことができます。いつもより質も量もアップさせるよう頑張るので、在宅勤務を認めてください」
これは伝え方の技術「相手の好きなこと」を使った伝え方。「質と量をアップする」というのは、上司としては嬉しいこと。通勤時間をかけて出社させるよりもクオリティが上がるのであれば、前向きに検討してみよう…と思ってくれるようになるでしょう。
まとめ
これらのケースのように、伝えたいことは同じでも「伝え方」を変えるだけで、相手がイエスと言ってくれる確率を上げることができます。特に相手が職場の人の場合、言葉の選び方に悩むものですが、伝え方の技術を知っていれば、相手に好印象を与えながらお願いを通しやすくなります。
いずれの伝え方も、ポイントは「相手の目線で考え、言葉にする」こと。ノーをイエスに変えるための答えは、常に相手の中にあります。どんなシーンにおいてもまず相手の頭の中を想像し、「伝え方の技術」をもとに相手がメリットに感じる伝え方を考えてみましょう。
佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師
上智大学大学院を卒業後、97年大手広告会社に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。カンヌ国際クリエイティブアワードでゴールド賞他計6つ獲得、など国内外55のアワードを入賞受賞。福岡県クリエイティブディレクター、シェラトンJAPANクリエイティブディレクター、などブランディング、広告CM制作多数twitter:@keiichisasaki Facebook:www.facebook.com/k1countryfree HP: www.ugokasu.co.jp