仕事をする上で最も失敗できないのが「取引先」とのやり取り。取引先との関係性においては、どうしても上下関係が生まれやすいものです。ときに、それを起因とするコミュニケーションのひずみが生じてしまうこともありえます。そこで、シリーズ累計131万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんに、取引相手といい関係を築く「伝え方」を教えてもらいました。(構成/伊藤理子)

取引相手に信頼される、伝え方のコツ

相手が大口のクライアントの場合、どうしても下手に出ざるを得ない場面が多いでしょう。立場が優位なクライアントに振り回されて困り果てたり、強く出られてストレスを感じてしまうケースもあるようです。最近では、取引先からの過剰なクレームを指す「カスタマーハラスメント」という言葉も取り沙汰されています。

このような事態に陥らないためには、クライアントといえども言うべきことはきちんと伝えながら、着実に信頼関係を築くことが大切。その際にも「伝え方」が力を発揮します。
今回は、取引先に信頼され、いい関係性を築く「伝え方」をご紹介したいと思います。

【Case1】早く結論の回答がほしい

いつも大事な案件の返事が遅いクライアント。結論をもらえないことには業務が先に進みません。だからと言って、

×「こちらも急いでいるので、早く返事をいただけませんか?」

とストレートに伝えてしまうと、「そっちの都合でしょ?」とクライアントの心証を害してしまう恐れが。一方で、クライアントとの関係性を壊したくなくて、なかなか結論を引き出せず、困り果てている人もいることでしょう。
しかし、このような困りごとも、伝え方の工夫で解消することが可能です。

〇「加藤さんと一緒に、この案件を成功させたいんです。お返事を早めていただけたら、最優先で対応させていただきます

これは「チームワーク化」と「相手の好きなこと」という2つの技術を使っています。「加藤さんと一緒に成功させたい」と言われると、人は仲間意識を覚え、嬉しくなるもの。「仲間からの依頼には応えたい」と、その後の「お返事を早めて」というお願いに前向きに対応してくれるようになります。
さらに、「最優先で対応させていただく」というのは相手にとって嬉しいこと。好印象を与えるだけでなく、イエスの言葉を引き出しやすくなります。

●今すぐ使える「伝え方」ポイント
「チームワーク化」…人は「一緒に」と言われること自体が嬉しいのです。仲間意識が生まれるため、面倒な頼みも聞き入れてもらいやすくなります。
「相手の好きなこと」…基本でありながら、最強。人に好かれる伝え方ナンバー1。「相手の好きなこと」をもとに考えるので、好感をもたれながら、こちらの希望を通すことができます。