世界最大規模の中国の自動車市場に関する最新統計で回復の兆しが示されたが、投資家はこれを重視すべきではない。中国自動車業界団体、全国乗用車市場情報連合会(乗連会)によると、6月の自動車販売台数は、前年同月比4.9%増加した。前年比での増加は昨年5月以来。乗連会の統計は信頼性が非常に高いものではないが、他の情報源からのデータも需要の強さを示している。シティグループの推計によれば、自動車販売と密接に結び付いている自動車保険の販売も6月には12.6%増となったもようだ。しかし、こうした朗報は一時的なものである可能性が大きい。6月の販売台数が伸びた要因は、買い手が値引き販売に引き付けられたことだ。自動車メーカーは、新たな排ガス基準が7月初めに導入される前に在庫を一掃するため、値引きを行った。この新基準は、複数の省と、北京・上海など大都市を含む直轄市を合わせ、十数の自治体で導入された。通常これら地域は中国の自動車販売の約3分の2を占める。昨年9月に欧州で新たな排ガス規制が実施された際にも、同様の状況が見られた。欧州連合(EU)域内の乗用車登録台数は、8月に31.2増加したが、翌月に23.5%減少する結果となった。