(1)会社員の家族の
健康保険の被扶養者になる

 定年後の健康保険で、最初に検討したいのが子どもなどの健康保険の被扶養者になるという選択だ。

 会社員の健康保険には、「被扶養者」という制度があり、75歳未満で生計維持関係にある3親等以内の親族は、保険料の負担なしでその健康保険に加入できる。

 原則的に同居の親族を対象としたものだが、被保険者(保険料を負担している加入者)から仕送りを受けているなど、生計維持関係にあることが証明できれば、離れて暮らしていても、親が子どもの健康保険の加入できる。

 自営業者などが加入する国民健康保険には、所得に応じて保険料を負担する所得割のほかに、世帯内の加入者の人数によって保険料が加算される均等割の仕組みが導入されているが、会社員の健康保険料は平均月収(標準報酬月額)に一定の割合(保険料率)をかけて決める完全な応能負担制だ。扶養家族のいる人も、独身の人も、給与の額が同じなら、保険料は同額だ。

 つまり、親が子どもの健康保険に加入しても、子どもの保険料負担が増えることはないうえに、親も保険料の負担なしで健康保険に加入できるというメリットがある。

 ただし、被扶養者になれるのは、子どもと生計維持関係があることを証明する必要がある。健保組合ごとに被扶養者の要件は異なるが、協会けんぽの場合は、60歳以上の人の場合は年収180万円未満で、その金額が子どもからもらっている仕送りよりも少ないことが条件となっている。

 つまり、年金収入など自分の収入以上に、子どもから仕送りを受けていなければ利用できず、子どもの健康保険の被扶養者になれるのは一握りの人だけで、多くのケースがその他の制度に加入することになる。