逆転劇の要因を調べるために、両社の業務純益が前年比でどれほど増減しているか、事業部門別で比較した(図3)。

事業部門別の業務純益増減額の比較※各年3月期(管理会計ベース)。「受託財産」は、三井住友FGの決算説明資料に項目が存在しないため、同社は「0」とした。 拡大画像表示

 すると、三菱UFJFGは日系の法人向け部門や、成長性が高いとされる海外のリテール(個人や中小企業向け)および法人向け部門を伸ばした半面、国債や株式など有価証券を売買する市場運用部門が、その増益を帳消しにするほど落ち込んでいることが分かる。

 運用部門が低迷した背景にあるのは、昨年度の波乱相場だ。特に、前半は上昇局面が続いていた米金利が、後半に急落するという難しい相場を迎えたため、米国債による収益が大幅に低下したことが収益に負の影響をもたらした。

 それに比べると、三井住友FGもリテール部門が大きく減益したものの、それ以外の事業部門は前年比で同水準をキープ。とりわけ、競合と比較して運用部門を維持できたことが大きい。

 その勝因は、昨年度に米金利も株価も大きく変動する中で、債券と株式が得意なディーラーをそれぞれそろえるという「人材のポートフォリオがうまく適合した」(宗正浩志・FG専務市場事業部門長)ことだという。

 とはいえ、もう一度図2に戻って純利益を見比べると、8726億円を計上した三菱UFJFGが三井住友FGを大きく上回っている。最終的な利益では、“業界の盟主”が雪辱を果たしていることが見て取れるだろう。

 この“再逆転”を生んだ要因こそ、持ち分法適用会社からもたらされる「持ち分法による投資損益」の差にほかならない。三菱UFJFGは、08年に米モルガン・スタンレーの株式を取得し、その利益に支えられてきた。19年3月期も、「投資益」は全体で2843億円の押し上げ要因となっている。