宇宙起業家にとってワクワクする時代がやって来た。
月に再び人類を送り込む宇宙船の開発は巨大産業メーカーやIT(情報技術)企業の領域となっているが、月面開発という壮大な事業にはスタートアップ企業が入り込む余地は他にもたくさんある。
実際、米航空宇宙局(NASA)の新たな月面探査・植民地化計画ではスタートアップ企業が極めて重要な役割を果たしつつある。月面への観測機材の輸送、空気やロケット燃料に変換可能な月面の氷の探査、3次元(3D)プリンター製の月面住居の設計などだ。
トランプ米政権はNASAの「アルテミス計画」で、2024年までに月に宇宙飛行士を送り込み、28年までに「人類の持続的な居住」を可能にするという野心的な目標を掲げている。月への移住を長年夢見てきた宇宙起業家にとって、これはまさに天の恵みだ。NASAは5月、月面探査の加速と民間企業との連携拡大に向けて2020年の予算に16億ドル(約1730億円)上乗せする要求案を明らかにした。
とはいえ、さほど前向きではないベンチャーキャピタル(VC)もある。また多くのスタートアップ企業にとって、月への移住を持続可能な事業にできるかどうかはまだ分からない。