「下請け」企業が
競争力を身につけるためには?
小宮コンサルタンツ代表
中小企業では、大企業(元請け)の傘下に入り、下請けを主な仕事としている会社も少なくありません。元請けにとっては、下請け企業と長期的な取引関係を築くことで、図面通りの部品やサービスを安定的に低コストで調達でき、下請け企業の方も系列に組み込んでもらうことができれば安定した受注が期待でき、独自の営業活動を行うコストが不要になるといったメリットがあります。
しかし、元請け・下請けの関係が永遠に続く保証はありません。同じような技術を持つライバル会社がより低価格で部品やサービスを提供できると売り込めば、サプライチェーンから外される可能性は高くなります。元請け企業が海外に進出すれば、国内の下請けは不要になるでしょう。
冷たい言い方になりますが、元請けにとって下請けとの取引をやめることは、自社のパート社員を解雇するよりも簡単なことです。パート社員は呼び出して契約を延長しないことを通告しなければなりませんが、下請け企業なら発注の電話やメールをしなければいい。それで関係は解消できます。
今は、元請けとの関係が良好で、ライバル会社に地位を脅かされることもないだろうと思えるかもしれません。しかし、どこでも作れる商品やサービスをどこでもやれる価格で提供していたら、いつまでたっても下請けです。系列に甘えて本当の営業活動をしていないので、営業の実力も低いまま。そんな状態で、ある日突然他社に仕事を取られて泣き言を言うようでは、経営者は務まりません。
では、下請け企業が競争力を高めるにはどうすればいいのか。それは技術力やサービスのレベルを上げ、独自性を磨き、ライバルとの差別化のため、たゆまぬ努力をするほかにありません。