「リブラ」の先行きが
仮想通貨全体の未来を決める

――仮想通貨全体に言えることですが、急落と上昇を繰り返しているように見えます。未来はどのようなものになっていくのでしょうか。

 フェイスブック社(=FB社、米国)が新たな仮想通貨「リブラ」を発表しましたが、それにかかっているでしょう。G7財務相・中央銀行総裁会議は、仮想通貨などのデジタル通貨に厳しい規制が必要との見解をまとめました。仮想通貨は、各国の金融・銀行政策の統制を弱め、セキュリティーリスクになる可能性にも懸念を示しました。

 FB社が米政府とうまく連携して、資金洗浄やテロリズムの資金調達対策、消費者データ保護といった懸念材料を解決できれば、仮想通貨全体の評価もよくなり、値も安定してくるでしょう。

 ただ、FBの一番の目的はSNS。そこから金融機関を目指すのは、矛盾すると思います。FBは、ユーザーが簡単に登録できるといった利便性を重視していますが、金融機関としては、資産やお金を扱う以上、安全性を重視した設定にしなくてはいけません。この点で、やはり金融機関は特殊なのです。

 しかし、今のFB社が、収益の柱であるSNSを捨てるとは考えにくいので、リブラを別会社で運営していくなどの方策が必要でしょう。

――現在、マルクさんがCTOを務めるトリスタン社では、安全性を重視したクラウドサービスの展開を始めたと聞いています。

 これは、自分でファイルを保管・共有するサービスです。自分自身の失敗経験が土台になっています。一見すると、特段ユニークな部分はないのですが、高いセキュリティー技術が使用されており、先ほどお話をした、「お客さん自身が自分の仮想通貨を管理する」という新たなフェーズにいくための基礎となるサービスだと考えています。

 今、クラウド業界は海外の特定の企業が支配しています。日本在住のフランス人として、そこに風穴を開けたいのです。あまりに特定の企業に集中すると、競争上ゆがみが出ます。極端なことを言えば、特定の国や企業のメリットにならない会社のブラックリストをつくり、アマゾンやグーグルを通じてサービスの提供を止めてしまえば、その企業は何もできなくなる。そういう世界はおかしいですよね。