○○は体に「いい」「悪い」の論文は
探せばどちらでもある

 そもそも、「Aが正しい」という研究に対し、探し出せば「Aは間違っている」と述べているものも必ず見つかります。研究者の専門分野によって視点や思惑が異なるからです。

 食品でいうと、コーヒーや牛乳などについて、180度結論が違う論文が多く出ています。ほかの食品でも、真逆の結論に至っている論文はいくらでもあります。

 食品メーカーは、こうした論文の中から、自分に都合のいいものを探し出して「エビデンスあり」とうたうのです。

マウス実験を人間に直結させる誤り
エビデンスの信頼度は、実はピンキリ

 エビデンスは、まずその「真偽」が重要なのは言うまでもありません。

 もちろん、どういう状況で行われた研究なのか、それが人間に当てはまるものなのかということについても、慎重に検討されなければなりません。

 誰かを批判するという意味ではなく、事例として説明しておきたいケースがあります。 以前、東北大学大学院のチームが、マウスの実験をもとに「糖質制限を続けると老化を早める」と結論づけました(*1)。

 しかし、マウスは人間や猫などと違って、その起源から穀物である種子を主なエサに生きてきた動物です。そのマウスに糖質制限を強いれば、不具合が生じるのは当然です。その結果を、ほとんど穀物を口にできなかった祖先のDNAを受け継いでいる人間に、そのまま当てはめて推論すること自体がおかしいのです。

 ところが、ネットメディアやテレビ番組などで興味本位に取り上げられたこともあり、多くの人の誤解を招きました。