一流の学術誌に載った論文以外は
興味を持つに値しない

 また、エビデンスはその「出所」も非常に重要です。

 実は、医学誌などの学術誌には、超一流のものから三流以下までさまざまあります。三流のものには嘘が書いてあることが多いいので、賢明なあなたが興味を持つに値するのは一流誌に載った研究論文だけです。

 詳しくは『医者が教える食事術 実践バイブル』に記しましが、それぞれの学術誌の影響力は、そこに掲載された論文がどれほど引用されたかでわかります。それを「インパクト・ファクター」(*2)と言って、ある計算方法を用いてランキングづけされています。

 志のある研究者なら、誰でも「インパクト・ファクターの高いトップ・ジャーナルに論文を掲載したい」と考えます。そのために昼夜を問わない努力を重ねるわけです。

 私はアメリカ留学中に、AGE(終末糖化産物)という老化促進物質の研究に没頭し、「絶対に不可能だ」と言われていた血中AGE値の測定に成功しました。それら研究成果を、トップ・ジャーナルと呼ばれている『NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE』『SCIENCE』『LANCET』各誌に第一著者として発表できたことは、今も誇りに思っています。

 ちなみに、「インパクト・ファクター」でトップ・ジャーナルの1つである『NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE』の点数は70点を優に超えているのに対し、日本糖尿病学会の英文学術誌は2点以下です(2015年)。

 どちらが信頼に値するかは一目瞭然。トップ・ジャーナルに出された「糖質制限が一番やせる」という研究成果が最も信用できます。

 メタボ気味で生活習慣病が気になり、糖質制限に興味があるビジネスパーソンは多いと思います。でも、情報感度が高い人ほど、「糖質制限はよくない」といった否定的な情報にも多く接してしまい、困惑していることでしょう。

 でも、どの情報が正しく、どの情報が嘘なのか、その真偽を判断する知性を持てば、もう嘘情報に惑わされたり、嘘情報によって健康を害したりすることはありません。

『医者が教える食事術2 実践バイブル』では、序章では「食の正しさの正体」について、第1章では「食の嘘」について触れて、正しい食の情報の判別方法や接し方について、徹底的に解説しています。ここを読むだけでも、あなたはもう、ちまたの嘘情報にダマされることはなくなるでしょう。

 2章から4章までは、より実践的な「何を、いつ、どうやって食べるといいのか」について解説し、5章では「どれほど食事に気を付けても病気にならない食事はない」ことを前提に正しいサプリの摂取法や、最新の薬や検査・治療法について解説しています。もし、時間がないなら、具体的な実践方法が満載の3章から読んでいただいても構いません。

 私は本書で紹介する食事、検査、医療を実践すれば、高い確率で100歳まで健康に生きられると思っています。ぜひ、最新の正しいエビデンス、生化学、臨床データに裏付けされた正しい食の情報で構成された本書を味方にして、充実した人生を実現してください。

(この原稿は書籍『医者が教える食事術2 実践バイブル――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)
(*1)日本農業新聞2018年3月15日付ニュース配信
(*2)https://clarivate.jp/products/journal-citation-reports/impact-factor/