建設業は「きつい」「汚い」「危険」の3K職場というイメージが付きまとうため若者に敬遠され、他の産業と比較して若年層の割合は減る一方で高年齢層の割合が増え続けている。330万人いる職人は、今後10年で3分の1が引退すると見込まれる。このままでは人手不足によって産業が崩壊しかねない。テクノロジーは救世主となるのか。建設テックへの投資を強化するゼネコン大手5社のトップに聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 松野友美)
――昨年末に大阪でロボットが働く清水建設のホテル建設現場をこの目で見る機会がありました。資材を運ぶロボットシステムや、鉄柱を溶接するロボットなどが導入され、省人化の目標は約70%と聞いています。
井上和幸(清水建設社長) その数字は、例えば現場の柱を溶接する人がね、6~7割は減るという意味です。天井のボードを張るような仕事も6~7割は減る。個々の作業での人数の削減率です。ただ、その大阪のホテル建設現場の規模で働く人が全体でどのくらい減るのかといえば、1%ぐらいなんですよ。
全体という意味での省人化となると、パーセンテージは少ない。でもこの1%、とても大きな数字だと、私は思っています。これから新しいハイブリッドなロボットを造っていくことによって、1%が5%になり、あるいは10%になれば、相当な省人化になる。
現在の3分の1に当たる128万人の職人さんが将来いなくなってしまうとして、そのうちの90万人ぐらいは新規に入ってもらいたい。仮にそれだけ入ったとしても、残りの38万人、まあ35万人がいない。足りないんです。
省人化に努め、生産性を上げることで職人さんの不足を補おうという作戦なんですよ。35万人ですから、現在の(職人の)約10%。現場作業の10%ぐらいをロボットなり、ICT(情報通信技術)とか他の要素も含めて削減することを目指していきたい。