理由(2):年金減額が考慮されていない

 今の年金制度には「マクロ経済スライド」という2004年の年金改革で導入された自動減額の仕組みが組み込まれているのですが、金融庁が計算した2000万円は、今の年金額が将来も継続する前提で計算されており、この減額が考慮されていません。5年前の2014年に実施された財政検証では、標準的なシナリオであっても2019年に65歳の人たちの所得代替率(年金額の現役世代の手取り収入と比較した割合)が60%程度から40%程度まで下がると予測されています。40%まで下がるということは、今の現役男子の平均賃金(34.7万円)を基準にすれば、夫婦二人の平均的な厚生年金額が21万円程度から徐々に下がり、90歳になる2044年には実質的に14万円程度まで下がることを意味します。このように「マクロ経済スライド」による減額によって収入が下がるため、不足額も増えることになります。

理由(3):金融庁の試算では人生は95歳まで

 冒頭で計算方法を記載した通り、金融庁は老後が30年間続くならば、公的年金以外で2000万円必要と計算しています。厚生年金の支給開始年齢が65歳であることに加え、多くの企業において定年延長や継続雇用などで65歳まで働けるようになっていますので、老後の人生が65歳から始まることに違和感はないでしょう。となると、そこから30年で人生が95歳まで続く、との前提を暗に置いていることになります。

 ところが、直近の簡易生命表を用いると、65歳まで生存された女性の27%が95歳まで生きます。100歳までも7%の人が到達すると計算されます。しかも『ライフ・シフト』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著)という書籍の中で著者は、寿命はどんどん延びて、2007年生まれの日本の子供たちは107歳まで生きると推計しています。

 超長寿化の中で、老後の人生を95歳までしか考えないプランはまだ十分ではないかもしれません。もっと安心できるプランを立てるには、100歳まで生きる前提でのプランが必要になると考えます。そうなると当然、老後に必要な金額も多くなります。