ステロイドは回数限定で使用
話題の「PRP療法」とは?

 日常生活に支障が出るほど肘が痛む場合は、ステロイド注射を使用することもあるが「注射をするには注意が必要」と、小谷野氏は説明する。

「ステロイド注射は、痛みを瞬時に取り除くという点で、もっとも効果を実感しやすい治療法です。しかし、すぐに痛みがとれることで『治った』と思い込み、発症前と同じ、もしくはそれ以上に手首を使ってしまい、薬効が薄れたときに再発しやすくなることが危惧されます。また、ステロイドの使いすぎは腱の劣化や変性を助長する可能性が否定できないので、3~5回という回数制限をして注射します」

 そのほか、五十肘の治療に適していると考えられているのが「PRP療法」だ。メジャーリーガーの大谷翔平選手が靭帯損傷の治療の際にPRPを注射したことでも、注目を集めている。

「PRP療法とは、自身の血小板を多く含んだ血漿を患部に注入する治療法です。血小板には、ケガや組織が損傷したときに患部を修復する働きがあることから、通常は修復されにくい『腱付着部』にPRPを注射することで改善が見込めます。ただし、日本ではPRP療法は健康保険の適応になっていない自由診療なので、費用は高額になりますので、PRP療法を行っている医療機関に直接お問い合わせください」

 また、PRP療法は個人によって効果の感じ方も異なるので注意が必要だ。そして、さまざまな治療を受けても痛みが改善しない場合は、手術を視野に入れなければならないという。

「傷んだ部位を切除して、関節内にも『炎症』や、患部に『引っかかるヒダ』が認められた場合は、内視鏡を使ってキレイに取り除く手術が行われます」

 五十肘は誰しも発症する可能性がある身近な疾患だが、放置しつづければ重症化してしまう危険な病でもあるのだ。