米国では、実体経済が底堅く推移することが見込まれるなか、トランプ大統領による追加関税の表明など米中対立激化の懸念と市場の利下げ期待が高まるという、複雑な状況となっている(写真はイメージです) Photo:PIXTA 

 米国雇用統計は雇用環境の改善継続を示し、賃上げ再加速の兆しもみられる状況。他方、先行き不透明感と市場の利下げ期待により、FRBは10年ぶりとなる利下げを実施した。今後も実体経済は底堅く推移することが見込まれるなか、トランプ大統領による追加関税の表明など米中対立激化の懸念と市場の利下げ期待によって、FRBのかじ取りは難しさを増している。

7月の米国雇用統計で
良好な雇用環境を確認

 2019年7月の米国雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月から16.4万人増加と6月(同+19.3万人)から減速した。ただし、追加的な労働供給力が低下して労働需給がひっ迫する中では、着実な増加ペースを維持していると言えるだろう。

 業種別に見ると、製造業は前月差+1.6万人と6月から増加幅が拡大した。一般機械で雇用者数が減少、電子機器でも雇用の伸びが減速したが、これまで生産調整が続いていた自動車関連で雇用の伸びが高まったため、全体の増加ペースが加速した。

 また民間サービス部門は、同+13.3万人と6月から減速したものの、堅調なペースを維持している。情報産業など一部の業種で雇用が減少したが、引き続き医療や飲食店をはじめ幅広い業種で雇用の増加が続いた。

 失業率は3.7%と、前月と変わらず歴史的低水準を維持した。就業者数の伸びは前月から加速したが、労働参加率が上昇(新たに職探しを始めた人の増加)したため失業率は変化しなかった。労働参加率の上昇は失業率の上昇要因であるものの、雇用環境の良さを映じた動きであるとみられ、労働参加率の上昇を伴っても失業率が上昇しないことは前向きに評価できる。