ワシントンのFRB本部
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――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 世界の中央銀行は10年超にわたり、インフレ率を目標(大抵は2%)まで引き上げようと躍起になってきた。しかし、この仕事は報われていない。インフレという概念は無意味なことが多いとあってはなおさらだ。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は7月31日に約11年ぶりの利下げに踏み切った。失業率は50年ぶりの低水準に近く、基本的な消費者物価の伸びは上昇に転じつつあるのにだ。投資家も金利を設定する側も、もはやインフレを懸念していないように見える。

 彼らは、インフレという概念自体をあらためて考える必要があることに気づいているのかもしれない。

 公式統計によると、1990年代以来、米国の消費者物価は分野ごとに全く異なるペースで上昇してきた。教育と医療の料金は2倍超になった一方、家具や衣料品や通信機器の価格は技術の進歩などを受けて下落した。