マイホーム購入米中間層にとってマイホーム購入は手が届かない夢になりつつある Photo:Ian Bates for The Wall Street Journal

 米国の中間層は中間層のライフスタイルを維持するために一段と借金を膨らませている。

 ここ20年間に自動車、大学、住宅、そして医療などのコストは着実に上昇してきた。だが所得となると、このところ上向いたとはいえ、ほとんど頭打ち状態にある。所得と消費のギャップを埋めているのは、消費経済の至る所で見られる融資の急増だ。

 住宅ローンを除いた家計債務は4兆ドル(約426兆円)と過去最高水準に達している。住宅ローンは金融危機後に落ち込んだが、回復しつつある。

 学資ローンは昨年1兆5000億ドルに達し、住宅ローンを除く消費者債務の中で最大となっている。

 自動車ローンは1兆3000億ドル。過去10年で4割近く増加した。

 ある意味、家計債務の増加は将来への自信の表れと言える。お金を借りる人々が、先々の収入で返済できると予想しているためだ。借り手が雇用の安定を実感しているときには、家計債務が増える傾向がある。

 だが、失業率が上昇し始めれば、家計によっては債務が維持できなくなり、支払い延滞や融資業者の貸し倒れ償却が増える危険性が高まる。

 国勢調査局によると、米家計所得の中央値は2017年末時点で6万1372ドルだった。インフレ調整後では1999年をわずかに上回る水準だ。さらに長期の17年末までの30年間では、インフレ調整後の所得増加率は14%となる。

 一方、ジョージタウン大学のアダム・レビティン法学教授によると、平均住宅価格はその30年間で290%も上昇した。

 4年制の公立大学の平均授業料は311%、人口1人当たりの医療費はそれよりやや短い1990年から2017年までで約51%上昇(実質ベース)したという。

 レビティン氏は「ミドルクラスにとどまるコストが上昇している」と指摘する。