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米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」の注目記事の要点を短時間でまとめ読みできてしまう「WSJ3分解説」。今回は、「トランプ発」の米中対立再燃によって大混乱に陥っている金融市場で、今何が起きているのかについて取り上げたいと思います。(ダイヤモンド編集部副編集長 鈴木崇久)

側近の反対を押し切り
対中関税引き上げを決断

 8月5日以降、世界の金融市場が大混乱に陥っています。発端はドナルド・トランプ米大統領の唐突な決断。米国が輸入する中国製品3000億ドルに対して、10%の追加関税を課すと突如として表明したのです。

 米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」は、それによる市場の混乱を次のように伝えています。

●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>>NYダウ一時900ドル超安、米中の対立激化を嫌気

 「5日の米株式相場は急落。中国人民元が下落し、貿易を巡る米中の対立激化で景気減速への懸念が強まった」

 「ダウ工業株30種平均の終値は前週末比767.27ドル(2.90%)安の2万5717.74ドル。午後の取引では一時961ドル下げた」

 「S&P500種指数は87.31ポイント(2.98%)安の2844.74、ナスダック総合指数は278.03ポイント(3.47%)安の7726.04で取引を終えた」

 「欧州、日本、香港でも主要株価指数が1%以上下げた」

 そして、混乱に陥った理由も合わせて端的に解説しています。

 「米中政府が貿易を巡り対立姿勢を鮮明にしたことで、投資家の売りが膨らんだ。人民元は5日、心理的節目の1ドル=7元台まで下落した。中国側はドナルド・トランプ大統領が実質的に全ての中国製品に関税を拡大する方針を示したことを批判する一方、トランプ氏はツイッターで、中国は為替操作をしているとやり返した。これを受け、米中はいずれ貿易交渉で合意にこぎつけるとの投資家の期待が後退した」

 また、トランプ氏による「全ての中国製品に追加関税を課す」という今回の爆弾発言について、WSJは関係者たちから聞いた話としてその舞台裏を明かしています。WSJによると、トランプ氏は「中国政府に米国の要求をのませるには関税が最良の方法だと側近たちに訴え、反対を押し切って対中関税の引き上げを決めた」といいます。

●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>>トランプ氏の対中関税、側近の反対押し切って決定

 トランプ氏と側近たちの間では、次のような意見の対立があったようです。

 「トランプ氏は、中国側の姿勢について、民主党大統領が次期政権を担う可能性を踏まえ、交渉を先延ばしするつもりかもしれないと推測。対立が長引けば経済が好調な米政府に有利だと話している。だが側近らは、新たな関税の導入が米経済を腰折れさせかねず、対中関係を一段と緊迫させ得ると主張した」

 そして、トランプ氏の予想通りというべきか、先週上海で行われた米中通商交渉は短時間で終了。米国の農産物の輸入を増やすという約束を中国から取り付けたかったトランプ氏でしたが、期待していた成果は得られませんでした。

 「関税だ」。WSJによると、「トランプ氏はチームにそう言った」といいます。さらに、前出の記事内で次のように詳細を描写しています。

 「その場には、ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)、ローレンス・クドロー国家経済会議(NEC)委員長、対中通商顧問を務めるピーター・ナバロ氏、ミック・マルバニー大統領首席補佐官代行などがいた」

 「関係者らによると、対中タカ派のナバロ氏以外はみな、断固として追加関税に反対した。そのため議論が2時間近く続いたという。側近らは最終的に譲歩し、中国からの実質全ての輸入品に関税を拡大することを知らせるトランプ氏のツイートの文言づくりを手伝った」