あらためてCKDとはどのような病気なのか、説明しておきたい。

 腎臓は背側の腰の少し上に左右一つずつある握りこぶし大の臓器だ。主要な役割は毛細血管の塊である糸球体(一つの腎臓に100万個ほどある)と尿細管でからだの老廃物を除去し、水分や塩分などの量も調整する。わかりやすくいえば下水処理場のような役割だ。この働きが慢性的に少しずつ低下していく病気がCKDだ。

 腎機能が低下していくと血中に老廃物や水分などがたまる。また、糸球体が壊れるために、血液中のたんぱく質など、本来からだに必要なものが排出されてしまう。こうした結果、むくみや倦怠感、食欲不振があらわれる。

 また、腎臓は赤血球の産生を促すホルモンを作っており、CKDが進むとこのホルモンの産生が低下するため、貧血も進んでくる。心臓への負担から心不全や肺水腫など命にかかわる合併症も起こりやすくなる。

 なお、日本におけるCKD患者は約1330万人といわれる。国民の10人に1人がCKDを患っているというのだから、他人事ではない。

 CKDの原因として最も多いのが糖尿病だ。聖路加国際病院腎センター長の中山昌明医師はこう言う。

「高血糖により、毛細血管の塊である糸球体が障害され、硬くなります。また、糸球体から血液中のアルブミンなどのたんぱくが漏れることで、腎臓の尿細管や間質という部分も炎症→線維化というプロセスを経て、傷んでしまうのです」

 しかし、糸球体は一部が壊れても他の糸球体が代償するため、CKDの症状は進行するまであらわれにくい。自覚症状を感じて病院に行ったときには、「即、人工透析」というケースは決して珍しくないのだ。

「CKDにならない、進行させないためには健診でeGFRの数値を必ずチェックすること。できれば数年分を確認し、急激に低下していないか調べるといいでしょう」(中山医師)

 腎機能は個人差が大きいものの、一般的には40代前半をピークに加齢とともにeGFRは年間約1未満程度低下していく。一方、CKDを発症している人の中にはこれが倍以上のスピード(年間2ずつ低下)で低下する例もあるというから、怖い。

「例えば50歳でeGFR60くらいの人が治療せずにいると75歳で10未満となり、人工透析になる可能性が高い。一方、治療で悪化が防げれば加齢の分だけの低下にとどまり、85歳でeGFRは25程度。風邪や脱水など不可抗力で腎機能が落ちることもありますが、人工透析を受けずに十分に天寿を全うできる人が多いのです」(同)

 なお、75歳を過ぎた高齢者で、eGFRが50程度であっても、数年来、値が横ばいで、尿たんぱくも陰性であれば心配はいらない。むしろ、健康の範疇だ。