高額療養費制度をさらにお得に活用する方法医療費が高額になった場合、高額療養費制度をさらにお得に活用する方法があります Photo:PIXTA

 定年退職後の健康保険には4つの選択肢があるが、そのなかで保険料の面で有利になるのが、会社員の子どもが加入している健康保険の被扶養者になるというものだ(参照:本コラム「定年退職後、子どもの健康保険の扶養に入って得する人・損する人」)。

 サラリーマンが毎月支払う健康保険料は、平均月収(標準報酬月額)に一定の割合(保険料率)をかけたものとなっており、扶養家族がいてもいなくても変わらない。子どもが会社員で、親の年収が180万円未満(60歳以上の場合)などの要件を満たせば、親は保険料の負担なしで健康保険に加入できる。

 親と子どもの所得区分の違い、加入している健康保険組合によっては、医療費が高額になった場合の高額療養費が、自分で国民健康保険などに加入した場合よりも不利になることもあるが、その点をクリアすれば、会社員の子どもの健康保険の被扶養者はお得といえる。

 さらに、被扶養者の制度をお得に使うために覚えておきたいのが、高額療養費の「世帯合算」だ。

子どもの被扶養者になっていれば
「世帯合算」で高額療養費もお得に

 高額療養費は、医療費が家計の重い負担になって貧困に陥ることがないように配慮した制度で、医療費がどんなに高くなっても、1ヵ月に患者が支払う自己負担額が一定額以内に収まるようになっている。

 原則的に、1ヵ月ごと、個人ごと、医療機関ごとに計算することになっているが、「世帯合算」というオプションの保障があり、家族の医療費をまとめて申請することができる。

 合算できるのは、同じ健康保険に加入している家族の医療費なので、共働きなどで夫婦別々の健康保険に加入している場合は対象にならないが、専業主婦の妻や子どものほか、定年退職後に子どもの健康保険の被扶養者になった親の医療費も合算対象になる。

 世帯合算の申請をすれば、より多くの払い戻しを受けられたり、1人分では限度額まで届かなくても、複数の家族が支払った自己負担分を合わせると高額療養費の対象となったりすることもある。