血圧を上げる要素である「心拍数」は、緊張すると上がってしまいます。難しいプロジェクトなどでずっと緊張していたりしたら脈拍が上がって血圧も上がり、いいことはありません。やはりリラックスが大切です。

 まず、仕事のことを考えなくてもいい状況を作ってください。趣味でもいいですし、ウオーキングなどで体を動かすのもいいでしょう。

 一番手っ取り早くリラックスできるおすすめの方法は、深呼吸です。深呼吸は副交感神経を強くする作用があります。自分の緊張が続いていると思ったら、3分間深呼吸を繰り返します。

 普通の人は1分間で12回くらい呼吸していますが、それを1分間で6回くらいにし、ゆっくりと呼吸しましょう。4秒吸って6秒吐いて、あるいは3秒吸って7秒吐いて。吸うよりも吐くのを長く、これがコツです。

 よく、教会やお寺に行くと心が落ち着くという方がいらっしゃいます。お祈りをする前後の交感神経の状態を調べたある研究論文(※)によると、教会でもお寺でもリラックス効果があることが分かっています。つまり、唱える言葉は違っても、吸って、吐いてをゆっくり長く行う呼吸に要因があったようです。

(※)“Effect of rosary prayer and yoga mantras on autonomic cardiovascular rhythms: comparative study,” British Medical Journal 323;1446-1449, 2001

――生活習慣を改善しても、なかなか高血圧が改善しない方もいらっしゃるようです。

 1つ気を付けていただきたいのは、家族の病歴です。ご両親どちらかの血圧が高ければ、二重丸の注意です。生活習慣はいくらでも変えられますが、親からもらった遺伝子だけは変えようがありません。

 50歳のサラリーマンの方で、「うちのオヤジは昭和一桁生まれで、90歳まで元気だった。だから俺も大丈夫だろう」とおっしゃる方がいます。でも、お父様が50歳だったとき、食事は粗食で、今より移動手段も発達していなかったでしょうから、よく歩いていて、きっと今より健康的な生活を送っていたはずです。

 ですから、「うちのオヤジは90歳まで元気だから自分も…」というのは絶対NG。なぜなら、同じ遺伝子を持っていても、お父様より不健康な生活をしていますから。

 現代の40~50代のサラリーマンは、ストレスが最も多い世代で、運動量は少なく、机に座っていることばかり。おまけに健康診断で異常を指摘されても、忙しいからと病院に行きません。しかし、重大な疾患を陥って命を落とす前に、ぜひできる限りの対策をしていただきたいと思います。