米中の覇権争いを端緒とし、鉄鋼業界では中国を震源地とする新たなリスクが発露。鉄鋼大手3社の2019年4~6月期の決算は厳しい結果に終わった。出口は当分見えそうもなく、首位の日本製鉄ですら本格的な構造改革を迫られそうだ。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)
ついに、ハイテク分野を主戦場とした米中の覇権争いが、オールドエコノミーの代表格である日本の鉄鋼業界にも深い影を落とすことになった。
8月9日までに出そろった鉄鋼メーカー大手3社の2019年4~6月期の決算は、総じて厳しいものだった。
日本製鉄(旧新日鐵住金)の本業のもうけを示す事業利益は前年同期比33.1%減に、JFEホールディングスの事業利益も同63.1%減に落ち込んだ。神戸製鋼所に至っては、5億円の経常赤字に転落するほどの壊滅ぶりだ。
日本製鉄の傷は相対的には浅く見えるが、実情は異なる。日本製鉄の20年3月期通期の個別決算の業績予想は「経常赤字650億円」。鉄鋼事業を行う単体決算では、しっかり赤字に転落する見通しなのだ。