金融機関は、預金で集めたカネを貸し出しや有価証券で運用して利ざやを稼ぐのが基本だ。

 一般的に、運用の金利は同じ期間の預金金利に信用スプレッドを加えたものだ。また、預金の期間は運用の期間より短い。金融機関は、通常は短期で金利の低い預金を集めて、金利の高い長期で運用する。

 つまり金融機関の利ざやは、信用スプレッドと長短スプレッドから構成されている。

 これまで日本の金融機関は、信用スプレッドよりも長短スプレッドにより依存して利ざやを稼いできた。信用リスク管理をさほど厳格にしないで済んだのは、「逆イールド」の期間はそれほど多くなかったからだ。

 だが今は長短スプレッドがマイナスで利ざやが取れない。

「順イールド」の場合でも、運用金利がマイナスになると金融機関は利ざやが取れなくなる。預金のマイナス金利は、預金者が損をすることになり、社会的な反発もあるのでまずあり得ないからだ。

 マイナス金利に「逆イールド」が加わっている現在、金融機関にとっては最悪の収益環境といえる。

“コストゼロ”で投資に絶好の機会
国債発行増で政府支出拡大を

 しかし一方で、企業や家計、政府による実体経済では、金利負担なしで長期資金が借りられるので、投資の絶好のチャンスだ。実際、不動産投資や住宅投資はかなり良好である。

 政府は、この機会にインフラ整備をどんどん行ったほうがいい。金利コストゼロなので、ほぼすべてのインフラ投資について、費用対効果を算定すれば、投資が正当化できることを意味する。

 東日本大震災以降、日本列島で地震が活発化しているという意見もあるので、そのリスクに備え、震災被害を事前に最小化するために、将来投資が必要だ。

 こうした投資の場合は、物的資産が残るので資金の調達は建設国債になる。建設国債は赤字国債とは違って、一定の資産が残るので必要であればどんどん発行すればいい。

 今の国債市場は、マイナス金利なので金利負担は考えずに済み、よほどひどい公共事業でなければ採算性がある。将来投資をするには良好な環境だ。

 南海トラフ地震や首都直下地震はいずれは確実にやってくるので、今の時期に防災対策投資を行うべきだ。またインフラ整備に限定せず、教育・研究開発や国防などでも、政府は国債をもっと多く発行し、将来投資の観点から積極的に行うべきである。