内閣改造と自民党役員人事を目前にして、首相の安倍晋三と自民党幹事長、二階俊博との「神経戦」が続いた。安倍が二階を続投させるのかどうか。これが今回の人事を巡る最大の焦点といってよかった。二階の処遇が、安倍の自民党総裁としての残り任期2年における政権の行方を左右するからだ。
2人の間に不穏な空気が漂っていた何よりの証拠が面会の頻度だ。とりわけ参院選後の「隙間風」は容易ならざる事態を想像させる。新聞の首相動静記事に二階の名前が出たのはわずか3回。しかも人事を巡る実質的な会談はなし。
選挙から2日後の7月23日夜、東京・東麻布の高級中華料理店「富麗華」での参院選の慰労会に安倍が顔を出したものの、滞在時間はわずか30分。この席には二階だけでなく政調会長の岸田文雄、総務会長の加藤勝信ら党幹部も同席していた。そして9月3日午前、自民党役員会の直前に安倍は二階と会っているが、これも事務的に「11日の党役員人事と内閣改造」を確認しただけだという。
つまり安倍と二階は選挙から1カ月以上、一度も腹を割って話し合ったことがなかった。
二階は幹事長として7月の参院選で自民党を勝利に導いたことに強い自負を持っている。二階の口癖がある。
「幹事長はプロ野球の監督と同じだ。選挙に勝てなければ首だ」
参院選で実績を残した二階にしてみれば、「幹事長続投」は当然の流れだ。ただ、メディアの人事報道では、副総理兼財務相の麻生太郎と官房長官の菅義偉の留任は早々に報じられてはいるものの、二階に関しては「処遇が焦点」で止まったままだ。