速さだけが価値なのか
でも、速さよりも大事なことがほかにあるのでは?
そう思った方もいるはずです。
結論から言えば、ほとんどの場合、速さに勝る価値はありません。なぜならば、時間をかければかけるほど良い選択ができる状況は、それほどないからです。
アルプスの雪山で遭難したハンガリー軍が、隊員の1人が偶然持っていた地図を頼りに下山して、全員が助かったという逸話があります。後でわかったのですが、地図はアルプスではなく、ピレネーのものだったそうです。
それでも1枚の地図を信じて行動を起こしたことで、彼らは命拾いしたわけです。もしもじっくり時間をかけて避難ルートを決めていたら、1人の命も助からなかったかもしれません。
情報収集や分析にむだに時間を費やすのではなく、納得してまず動くことの大切さを教えてくれる実話です。
どんな状況にでも適応して勝ち残るために、速さが絶対に必要なのです。
アイ&カンパニー・ジャパン代表 経営コンサルタント 経済同友会会員
OODAループやサプライチェーンをはじめ全体最適・自律分散の先進的なモデルを提唱し、日本で最初期に導入。OODAループは、これまでに延べ1万人以上が体験し、導入企業では劇的かつ持続的なエンゲージメント、そして生産性向上を実現している。主なクライアントは、トヨタ自動車、日立製作所、GE、NTTグループをはじめIT、ハイテク、消費財などの各業界を代表する日米の企業。米国シスコ本社で戦略担当部門マネージングディレクターとしてエコシステムの構築をグローバルで指揮。ハーバード大学にて米国流の自ら考える教育を体験。外資系戦略コンサルティングファームの日本・アジア代表を歴任。PwCコンサルティングでは、合併統合により1000人規模の組織を構築し経営を統括。アーンスト&ヤングコンサルティングでは赤字だった日本法人を1年で世界最高の利益率を誇る事業に転換。経済同友会にて経済成長戦略委員会副委員長、情報処理推進機構にて情報処理技術者試験の試験委員、港区立青南小学校でPTA会長などを歴任。2015年からはOODAループ関連の論文をホームページで公開。直近半年での閲覧数が30万になっている。著書に『「すぐ決まる組織」のつくり方―OODAマネジメント』(フォレスト出版)等がある。