原油価格の上昇はもはや、米国にとって純粋なマイナス材料ではない。しかし、世界最大の原油輸入国である中国にとってはそうだ。中国では既に、家畜伝染病「アフリカ豚コレラ」の流行で豚肉の価格が前年比40%上昇している。インフレ率は、上振れする春節の時期を除くと2013年以来の高水準だ。延々続く対米貿易戦争のなか、16日に公表されたデータによると、8月の固定資産投資、小売売上高、鉱工業生産の伸びは軒並み減速した。特に、鉱工業生産の伸びは17年ぶりの低さだった。過去1年はおおむね、苦境にある中国の消費者・企業の痛みを原油安が和らげてきた。だが14日にサウジアラビアの石油施設が攻撃されたことから、週明け16日にはブレント原油が約10%上昇し1バレル=65ドルに達した。サウジは一部の生産を再開しているが、原油相場はしばらく高止まりするかもしれない。投資家は、中東情勢の混乱が激化するリスクを改めて検討している。ブレント原油先物を見ると、投資家は原油価格が来年夏までは攻撃前の水準に下がらないと考えているようだ。それでなくとも世界経済は一段と低迷するとの予想される状況にある。
原油価格急騰、真の敗者は中国
有料会員限定
あなたにおすすめ