「自助」の民間保険に
過大な期待はできない

 では、「最後」に生活保護で救われるまでには、どのような救済があるのだろうか。「自助」「共助」「公助」の順に見てみよう。

「自助」といえば、まずは民間の火災保険だろう。「風災」が対象に含まれている場合は、台風の強風による被害も対象となる。「カネ」は、腐ることも劣化することもない。あらゆるモノやサービスと交換することができる。想定した災害に被災するかどうかは事前には予測できないけれども、必要になったら保険金を受け取ることができる。同じ条件やニーズを持つ人々が、保険料として負荷を分かち合い、必要になったら保険金を受け取る仕組みは、非常に合理的だ。

 民間保険各社は、台風15号が襲ってから4~5日程度で、被災者に対し、わかりやすく情報を提供している。また、災害救助法が適用された地域に対しては、保険の満期日や保険料の払い込みに対して数ヵ月の猶予を設け、「被災しただけでも大変なのに、せっかくの保険までムダになってしまった」という事態が発生しないように対策している。素晴らしい配慮だ。

 しかしながら、台風15号による保険金の支払い総額は、大手民間保険各社の合計で、少なくとも数千億円に達するという見通しもある。ここ数年、日本を襲う気象災害は、規模も頻度も、かつて想定されていなかった内容となっている。本当に「万が一」に備えられ、なおかつ保険料が生活を圧迫するほどにはならない保険であれば、その保険の持続可能性も問題になるだろう。

 そもそも保険の仕組みは、「想定している災厄に誰かが見舞われる確率は、範囲が予測できる」という前提で成り立っている。2011年の東日本大震災や2018年の西日本豪雨のように、広範囲に大きな被害をもたらす災害が、「滅多なことだから、滅多に起こらない」と言えるのであれば、保険で備えられるかもしれない。しかし、「ああ、またか」というのが市民の皮膚感覚になったら、保険で備えることは困難になるだろう。このような、大変困惑する事態の背景は、地球規模の気候変動だ。

 そして現在、地震リスクも、環太平洋地震帯全体で高まっている。保険を含めて、「自助」に過大な期待はできない。