あなたの老後資金作りを応援する特集「じぶん年金づくり実践編」(全9回)。この#8では、米国の個別株への投資について詳しく解説します。実は日本の金融機関関係者や日本株のストラテジストの多くが、オフレコや本音では米国株を勧めてくることが多いのです。歴史的にも右肩上りを続けてきた米国株の魅力を知り、今後も有望な米国株投資を考えてみましょう。(「週刊ダイヤモンド」2019年6月29日号を基に再編集)

GAFAにも投資ができる
為替変動リスクには要注意

 「ウィンドウズ」「Amazonプライム」「iPhone」「グーグルマップ」……。これは、マイクロソフトを筆頭に、米株式市場の時価総額上位から順に並べた際、それらの企業が世界に送り出している代表的な製品・サービスの名前を挙げたものだ。こうして見ると、記者は普段からよく使う必需品ばかり。あなたはいかがだろうか。

 このように、日本人にもなじみの深い画期的な製品・サービスを、米国の世界的企業は次々と送り出してきた。自ら利便性を肌で感じているからこそ、そんな企業に長い目で「投資」するのも一手だ。

 というのも一消費者として、自分が「すごい」と思うものは他の人もそう考えやすい。そんな企業の製品・サービスにこそ、利用者はお金を払いたいと考える。結果的に企業が収益を上げて成長し、株高となるのは自然な流れだ。

 特集#6「米国株投資は魅力満載、日本株とは段違いの高成長や高配当も」では、米国株の魅力やETF(上場投資信託)投資などを紹介してきたが、最後は個別銘柄投資のポイントを押さえよう。

配当金の二重課税に対応するには
「外国税額控除」

 まず、日本株投資と比べた際の主なメリットとデメリットをまとめたのが上図だ。メリットの一つ目に挙げられるのが、いわゆる「GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)」のような、日本にない「世界的プラットフォーマー」に投資ができること。

 SBI証券の榮聡シニア・マーケットアナリストは、こうした「日本の市場に見当たらない銘柄」を買うことを勧める。最近は個人情報絡みの批判も出ているが、グーグルの検索連動型広告やフェイスブックのSNSのシェアの高さなどは日本企業にないものだ。

 こうした今を時めく巨大テクノロジー企業は当然として、他にも榮氏が着目するのはビザやマスターカード。クレジットカード決済の世界シェアは2社だけで8割ほどに及び、安定成長が見込める銘柄だ。

 なお、ここでは逆に「買うべきではない」銘柄にも触れておこう。それは、いわゆる「構造不況業種」に該当するもの。

 例えば、米国では「デス・バイ・アマゾン(アマゾンによる死)」という言葉がある。アマゾンをはじめとしたEC(電子商取引)に取って代わられ、苦戦を強いられている既存のデパートなどがその代表だ。

 米国株の強みの二つ目は、時価総額が大きくても高成長が期待できる銘柄が多いこと。一例を挙げれば、マイクロソフトはパソコン用OSのウィンドウズやオフィス製品で世界を押さえつつ、最近ではクラウド事業が好調。時価総額1兆ドルを超える銘柄でありながら、直近の2019年1~3月期決算は純利益で2割増益を確保している。

 三つ目に、日本株とは違って1株から取引できること。日本円にして1万円以下の金額で売買可能な銘柄が多く、最低投資金額が数百万円に上ることも少なくない日本株より小口で始めやすいのだ。

 一方、デメリットに挙げられるのは、第一に投資先企業の投資情報が日本株より取りづらいこと。第二に為替変動のリスクが付いて回ることだ。第三に、日本株投資よりコストが高くなりがちなことにも留意したい。投資時にドルを購入する必要があるため、為替手数料が掛かるほか、売買手数料が日本株より高めだ。

 また、特定口座で米国株を売買して得た利益にかかる税金は証券会社が計算して申告・納付してくれるが、配当金は米国で10%、残り額に日本国内でさらに約20%分が源泉徴収される「二重課税」の問題がある。

 この問題を和らげるのが「外国税額控除」。海外で払った税額を所得税や住民税から控除できる制度で、確定申告での手続きが必要となる。ただしNISA(少額投資非課税制度)を使った場合は確定申告ができず、外国税額控除もできない点には注意したい。

 こうした点を踏まえて投資先を考えるわけだが、全体として時価総額が小さい銘柄は日本の中小型株同様、値動きが激しくなりやすい。大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジストは「目安として10億ドル(約1080億円)は上回っていた方が無難ではないか」と話す。