「20世紀最大の発明」ETFは
初心者にもうってつけ
金融業界で「20世紀最大の発明」とも称されるETF(上場投資信託)。値動きが株価指数などに連動する同商品が米国で誕生して以来、S&P500やダウ工業株30種平均といった代表的な株価指数に対して、低コストで投資できる新たな手段がもたらされた。
機関投資家が多く利用し、規模を急拡大させてきたETFだが、いわば株価指数の組み入れ対象である銘柄群に“丸ごと”投資できる分かりやすさから、初心者にもうってつけの商品といえる存在だ。
ETF自体はさまざまな商品があり、日本から投資できるものだけでも何百という数に上るが、基本的に米国株なら、S&P500かダウ平均に価格が連動するタイプのシンプルなもので始めるのがよいだろう。
またETFはそれぞれ上場し、株式と同様に取引時間中ならいつでも売買できる点が、1日1回だけ値段(基準価額)が更新される投資信託とは異なる。とはいえ、購入時には買付手数料が掛かる。じぶん年金作りに向けた長期投資を念頭に置くなら、頻繁な取引はお勧めしない。
その上で、具体的にどんな商品があるのかを示したのが次の表だ。上場市場が米国のもの、日本のもの両方あるが、いずれも後述するネット証券などを通じて買うことができる。
米国株ETFにおいて、今や王道的な存在といえそうなのが、列挙した中でコストが最も安い「バンガードS&P500ETF」。インデックスファンドに強みを持つ世界有数の資産運用会社、バンガードが運用しており、その手数料率は驚異の年0.03%と格安だ。
一方、国内にもS&P500やダウ平均と連動するタイプのETFが上場しているが、何しろ規模の小さいものが多いのが難点だ。流動性に乏し過ぎると最悪の場合、繰り上げ償還に陥る可能性もあるため、純資産総額は大きい方が無難である。
あえて言えば、国内上場ETFは全て円建てで取引できるのが利点だ。ただし、投資先が米国株のような外貨建て資産の場合は、為替変動の影響を受ける点に留意したい。
円安ドル高となれば円換算した資産の価値が株価指数の上昇(下落)分以上に差益を受け取れるが、逆に円高ドル安となれば為替差損が発生する。