続いて、「毎月分配型の投信は、まとまった定期収入がない高齢者にとって『給与代わり』(60代の女性)になっている面がある。年金と現役時代に築いた金融資産の取り崩しでやり繰りする家計に合っているとの指摘もあり、投資信託協会の松谷博司会長は『高齢者にとって隔月や毎月で分配するファンドは重要なカテゴリー』と話す」とまで書かれると、再び「またか!」と思う。

 分配金を給与の代わりのように思わせて、主に高齢者に手数料の高い毎月分配型投信を売りつけるのは、金融機関の営業の典型的な手口であり、経済を専門とする新聞としては、その問題点を指摘すべきではないか。

 現実に存在するのは、投資家のニーズではなく、投信の売り子のニーズだ。前者は、親切な誰かが「それはやめた方がいい」と教えてあげるべき間違いにすぎない。

 端的に言って、この記事と金融業界が肯定しようとする「ニーズ」に従うことによって、投資家は、おそらく年間に数十万円単位の余計な手数料を支払うことになる。

「1回2万5000円のATM手数料」と同じ
なぜそれほど高い手数料について語らない

 日経の記事にある残高1位の投信の運用管理費用は年率1.79%(税込)だ。2位の投信は1.51%である。いずれも個別にはカテゴリー平均並みだとしても、絶対水準としてひどく高い。こうした費用が毎年掛かるのだ。

 仮に、投資家が保有している金額が2000万円だとして、運用管理費用が年率1.5%だとしても、年間30万円もの手数料支払いだ。毎月支払われる分配金を、ATM(現金自動預払機)で給料を引き出すような感覚で捉えるなら、1回2万5000円のATM手数料を掛けているのだと思うと実態に近い。運用管理費用のおおよそ半分程度が残高に応じて販売金融機関の収入になるので、金融機関は一生懸命に売りたがる。