それは性暴行を受けるときは、「やめて」という言葉や抵抗の意思を無視され、自由を奪われ、下着を脱がされ、事例によっては布団をかぶせられたり洋服で目隠しをされたりしながら体を触られ侵されます。

 そのときの恐怖がPTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)となって残り、ふとしたときにその場面がよみがえります。食欲がなくなったり眠れなかったり、緊張や不安が続いたりするために生活が送れなくなり、仕事ができなくなる人もいます。

 その中には一生男性恐怖症にさいなまれ、電車に乗ることができず、仕事にも行けず、引きこもったまま苦しい人生を送り続ける方も少なくありません。人生そのものが大きく損なわれるのです。社会は、その深刻さや苦しさ、喪失にもっと向き合うべきです。

 イギリスでは、性行為で同意が必要なことを教育するビデオが作られています。性行為を紅茶に例える内容で、今回の書籍では日本語訳を紹介しました。この話を聞くと、不同意の性行為がいかにばかげているか、理解できるでしょう。不同意の性行為に対して、被害者側に責任がある、隙があったとはとても言えなくなります。

 アメリカでも学校教育の中で「相手から明確な同意を得られたときにのみ、性行為に進むことができる」と教えています。これは「ゴミはゴミ箱へ入れる」と同じくらい当たり前になりつつあります。

 社会の意識と法律はセットになっています。同意なき性行為を犯罪とする法改正を行い、条文で明確に規定されることを通じて、「同意なき性行為はしてはいけない」という教育も徹底する。そうやって、日本の性に関する文化、教育、そして日本人の意識を変えていくことが求められています。

ニューヨーク国連本部で開催された国連女性の地位委員会(CSW62)パラレルイベント開催
ニューヨーク国連本部で開催された国連女性の地位委員会(CSW62)パラレルイベント開催

被害に遭ったことを相談でき、
自分の経験を語れる社会をつくる

――前述の調査では、被害を受けた女性の6割、男性の約4割はどこにも相談せず、「恥ずかしくて言えなかった」「どこに相談すればいいかわからなかった」とも答えています。被害を受けたとき、知っておかなければならないことは、どんなことですか。

 被害に遭ったときは、まず全国の「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」に連絡してください。気持ちをかき乱されて動揺しているときは、正しく判断し行動することが難しくなるため、誰かサポートしてくれる人が必要です。書籍の巻末に、内閣府ウェブサイトの情報をもとにした一覧表を作りました。