トランプ大統領の関心はイランと中国
朝鮮半島への関心は薄れている

 トランプ大統領は24日(現地時間)、国連総会で一般討論演説を行った。韓国ではトランプ大統領が北朝鮮に対する体制の保証に言及してくれることを期待する向きが多かった。

 しかし、トランプ大統領は金正恩国務委員長に「北朝鮮は途方もない潜在力があるが、これを実現するためには必ず非核化をしなければならない」と伝えていることを述べ、体制保証についてはイランと同列で、「米国の目標は永続と和合であって、限りない戦争に飛び込むことではない。戦争は絶対に終わらない」と言及。不可侵の意思を示した。

 北朝鮮の金星国連大使は注意深く聞いている様子だったが、これでは北朝鮮に非核化を促す体制保証としては不十分だろう。しかし、これがトランプ大統領と米国内の北朝鮮に対する関心の度合いなのだろう。

 一方、文大統領が行った24日の国連演説では、文大統領は「韓国は北朝鮮の安全を保障する」と述べ、敵対行為の中断を呼び掛けた。さらに、文大統領は「70年の軍事的対立が残る悲劇的空間だが、逆説的に人が踏み込まない自然生態系の宝庫に変貌した」と述べ、非武装地帯に国連機関などを誘致し、平和研究や軍縮のための中心地となれば、名実ともに国際的な平和地帯になると力説した。これは、非武装地帯の地雷除去や自然保護といった活動を入り口に、国際社会の協力を引き出そうとする狙いがあり、南北の軍事境界線を挟む非武装地帯を北朝鮮とともにユネスコ世界遺産に登録しようという構想も含まれている。

 非常に夢のある考えだ。しかし、それはまだまだ先の話であり、現実感がない夢のような話だ。南北が統一した暁には、あるいは休戦協定が平和協定に変わったときにはそれが実現するかもしれない。

 一方で北朝鮮は、今の韓国を快く思っていない。北朝鮮住民が飢えの瀬戸際に立たされているときに、韓国国民は良い生活をしていると多くの北朝鮮国民は思っているのではないだろうか。今、北朝鮮が苦しい国家運営を強いられている原因は、北朝鮮の核開発を阻止しようとする制裁である。北朝鮮からすれば、南北融和や夢のような未来構想を語る前に、米国を説得して制裁緩和に力を尽くしてほしいと思うだろう。つまり、南北融和を目指すために文大統領は奔走しているが、実は北朝鮮にとっても国際社会にとっても、期待外れで効果がない発言と動きをしているのだ。北朝鮮はそんな的外れな動きをする韓国に嫌気が差していることもあり、次々と短距離ミサイルを発射しているとみるのが自然だ。

 それに、北朝鮮が核ミサイルと並んで韓国や米国に圧力をかけ続けることができるのは、38度線沿いに配備している火器があるからだ。もし文大統領が演説で述べたように38度線を平和地帯にしてしまえば、北朝鮮の優位性は著しく損なわれる。つまり、文大統領の構想に北朝鮮がもろ手を挙げて同意するとは思えない。

 仮に、文大統領が韓国国内向けにいい格好をするために発言したのであれば、北朝鮮の反発が直ちにそんな文大統領の打算を打ち消してくれるだろう。このように荒唐無稽のことを言っている限り、北朝鮮は韓国を相手にしないであろうし、断じて韓国を仲介者とは認めないだろう。

 今回の一連の国連演説と米韓首脳会談は、文大統領の現実を直視しない外交の典型的事例といえそうである。それを国際社会向けに行ったことは、政治センスの問題だ。