鉄道の未来形?
「ドライバレス運転」とは

 JR東日本は昨年7月に発表したグループ経営ビジョン「変革2027」で、将来的に運転士を必要としないドライバレス運転の実現を目指すと明記した。

 ドライバレス運転とは運転士が乗務しない運転形態だが、必ずしも無人運転を意味したものではなく、安全確認やドア操作、案内等を行う係員は乗務する想定だ。運転士は丸々機械に置き換えられ、車掌だけが残ると考えるのが分かりやすい。

 一方、ワンマン運転は運転免許を持つ運転士が1人で乗務する運転形態である。ローカル線では手動の運転操作からドア開閉、案内放送、さらには運賃収受まで運転士と車掌と駅員の全てを担当するケースがあるが、地下鉄など都市部ではATOによる自動運転を前提とし、ドア操作や案内放送、安全監視などが主になる。こちらは運転士の運転操作だけを機械に任せ、運転士が車掌の業務を引き継ぐ形だ。

 見かけの上では似ているワンマン運転とドライバレス運転だが、養成に長い時間と多額の費用を要する運転士を必要としないドライバレス運転は、鉄道事業者にとって採用、教育の両面で大きな改善が期待できる。

 だが、ドライバレス運転の実現には、法令上・技術上の解決すべき課題が多く、また多額の設備投資を必要とするのが実情だ。取り組みのモデルケースであり、シンボルと位置づける山手線や新幹線は別としても、他路線と線路が並行していたり、踏切のある路線への拡大は長期的な課題となる。当面「長編成」の路線では、ATOやホームドア整備と並行して、まずはワンマン運転の拡大が進むことになるだろう。

 その一方で、ワンマン運転の拡大には不安の声も少なくない。1000人以上が乗車する朝ラッシュの電車が事故や災害に巻き込まれた時、運転士1人で対応できるのだろうかと考えると、確かに心配になってくる。しかし、運転士と車掌が2人いたところで1000人以上の対応は難しいのが現実で、ツーマン運転を行っている路線においても、乗客を車両から降ろして徒歩で避難誘導する場合は、基本的に駅員など応援の到着を待って行われる。

 応援が来るまで待っていたら、助かるものも助からないのではないかという不安はもっともだ。だが極端な話、1両に1人車掌を乗せたところで、現場対応できる保証はない。非常時に対応するために常時係員を張り付けておくという解決策は、要員確保、人件費の両面で非現実的と言わざるを得ない。

 鉄道は事故の未然防止を優先目標として、ATS(列車自動停車装置)など多重の安全装置を設置している。しかし、過去に発生した様々な重大事故や重大トラブルは、トラブルを見越したリスクコントロールや、事故発生後の安全確保の重要性についても多数の教訓を残している。