新社長が社員の服装規定を撤廃し、イメージチェンジを図っている富士通が9月26日、新たな経営方針を発表した。野心的な内容が期待されたが、経営目標は穏当かつ曖昧なものにとどまった。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)
富士通は近年、経営目標の未達が続き、携帯電話事業などの売却で売上高は減少している。今回の経営方針で反転攻勢に出られなければ、縮小再生産から抜け出せなくなるおそれがある。
6月にトップに就いた時田隆仁社長は、26日の会見で「富士通は従来のIT企業から、テクノロジーとデータを駆使して革新的なサービスを提供するデジタルトランスフォーメーション(DX)企業になる」と強調した。実際、時田社長は矢継ぎ早に策を打ってはいる。
経営方針の目玉は、デジタル技術によるソリューションビジネスへの転換を加速するための新会社の設立だ。
社内のシステムエンジニアや営業、富士通総研などから精鋭を集め、DXで顧客の課題を解決する会社を来年1月に立ち上げる。社員のコンサルタントの人数は500人から始め、2022年に2000人に拡充する。この新会社を中心に売上高3000億円の創出を目指す。
こうしたDXビジネスの拡大のために今後5年間で5000億円をM&Aやベンチャーへの投資に振り向ける。