スマートフォンユーザーの最大のメリットは、多種多様なアプリを利用できることだろう。中でも、最近人気が高まっているものが、英会話や英単語、漢字などが学べる、いわゆる「学習アプリ」だ。
ネット調査大手のマクロミルとモバイル広告のインモビジャパンによるインターネット共同調査によると、スマホユーザーのうち学習アプリをダウンロードした人は、51.2%と実に半数以上に及ぶ(調査期間2012年5月15日~6月7日、有効回答318人)。
さらに入れているアプリの種類を聞くと、人気の筆頭は「英会話・英単語学習アプリ」(51.5%)で、雑学系学習アプリ(38.0%)、漢字学習アプリ(25.8%)と続く。また、54.8%が「効果がある」と回答(「非常に効果がある」5.8%と「やや効果がある」49.0%の合計)。調査結果から、学習アプリは、利用度も満足度も高い“優等生”であることがうかがえるのだ。
本当に効果が実感できるのか、いくつか試してみることにした。NTTコミュニケーションズが提供するAndroidアプリ紹介サイト「アプリコ」では、カテゴリー別の人気ランキングを発表している。学習アプリの週間ランキング(7月10日~7月16日)によると、1位は「TOEIC presents English Upgrader」。
日本でTOEICテストを実施する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が、2年半前に開始したポッドキャスト向けのコンテンツを、アプリ化したものだ。ポッドキャストは、累計ダウンロード数1億以上の超人気コンテンツであり、ユーザーからのアプリ化の要望に対応した。
ビジネスや日常会話の場面をエピソード風に音声と文章で提供するコンテンツを複数ラインナップする。スキット(会話の実例)の内容に関するクイズや、各エピソードの重要フレーズ集も搭載。音声だけでは聞き取れなかったり、理解できなかったりするフレーズも、英語の文章や和訳で確認できるので便利だ。重要フレーズ集も復習に役立つ。続ければ、英語力が着実に身に付きそうだ。
English Upgraderは、昨年5月、iPhoneとAndroid端末向けに無料提供が開始され、既に66万ダウンロードを達成している。「ユーザーレビューなどで、非常に内容がいい、使いやすい、有料でもいいからエピソード数を増やしてほしいといったコメントが書かれるなど、非常に好評」と、IIBCの開発担当者は話す。今年5月には、「TOEIC presents English Upgrader 2nd Series」の提供を開始し、既に4万ダウンロードを記録。今後も続編のリリースを視野に入れていくという。
2位は、「iKnow!」(セレゴ・ジャパン)。基礎英語やTOEIC対策、ビジネス英語、中国語など、ジャンル別に教材を用意し、音声や画像を駆使したリッチなマルチメディアコンテンツにより、手軽に英語を学習できる。
早速、iKnow!の中のTOEIC対策のコンテンツを使ってみた。画面上のボタンをタップするごとに単語や熟語が音声とともに表示され、それぞれ3つの例文により使い方も学べる。さらに、学習済みの単語・熟語の意味などを問うクイズが合間に挿入されるので、自動的に復習もできる。画面をサクサクとタップするだけで、自然と単語や熟語を覚えることができた。
毎日の学習時間や内容は自動的に記録されるため、進捗状況もひと目で確認できる。進捗状況に合わせて、最適な学習メニューをレコメンドしたり、学習スケジュールを自動作成したりする機能も付いている。まさに、至れり尽くせりの学習アプリ。これなら無理なく英語学習を続けられそうだ。iKnow!では最初の5セッションが無料。それ以降はPC版も含めて月額1000円で利用できる(12ヵ月契約だと700円/月)。自宅ではPC版、外出先ではスマホ版といった使い方が可能だ。
人気は英語学習アプリだけではない。価格.comが提供する人気学習アプリランキング(Android向け、7月6日現在)によると、トップは「漢字能力検定 あなたは何級?」。日本漢字能力検定協会が実施した過去の漢検テストで、実際に出題された10級から1級までの漢字問題20問により、漢字能力を診断する無料アプリだ。
手書き文字認識入力機能を搭載しているので、問題に対しては、画面に直接漢字を書くことができる。指先を動かして次々と答えを書いていく作業がことのほか楽しい。いくつか違う問題パターンが用意されているので、時の経つのを忘れ、何度もリトライしてしまった。級別の問題を収録した有料版もあり、活用することで、漢字を効率的に学べ、漢検テスト対策にもなりそうだ。
学習アプリが人気の背景は、(1)ユーザーがオンラインで学習するスタイルに慣れてきた、(2)すき間時間を有効利用できる、(3)音声や文章だけでなく、タップや手書き入力ができるスマホの特性が学習アプリに非常にマッチする、(4)無料で利用できるアプリが多い、(5)アプリの完成度が高く即効果を実感できる、などがあるだろう。ソフトバンクグループがiKnow!を社員2万人を対象に正式採用するなど、企業側の動きも活発化してきた。学習アプリ熱は今後も高まっていきそうだ。
(大来 俊/5時から作家塾(R))