2002年10月から、70歳以上の人の自己負担割合は2段階構造が導入され、現役並みの所得がある高齢者の負担は2割となり、2006年10月には、これが3割に引き上げられた。

 2008年4月、75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療制度」がスタート。同時に、70~74歳の人は所得が一般・住民税非課税でも、自己負担割合が2割になる予定だったが、その前年の参院選で自公政権は大敗。高齢者の票離れを恐れて、実施が見送られたのだ。

 その後の民主党政権下でも、政治的な理由から70~74歳の人の自己負担割合は1割に凍結されたままになっていたが、2013年8月にまとめられた「社会保障制度改革国民会議」の報告書で指摘を受け、2014年4月以降に70歳になる人から、2割に引き上げられることになった。

 こうした変遷を経て、現在の70歳以上の人の自己負担割合は、所得が一般や住民税非課税の人は70~74歳が2割、75歳以上は1割で、一定以上の所得があると3割を負担することになっている。

 日本は、2007年に高齢化率(人口に占める65歳以上の人の割合)が21%を超え、超高齢社会に突入している。2019年9月15日時点の高齢化率は28.4%で、出生率が飛躍的に上昇しない限り、2025年には30%、2040年には35.3%に達する見込みだ。

 こうした人口構造のなかでは、高齢者も重要な社会の支え手とならざるをえない。ここ数年の医療制度改革では、低所得層の負担は据え置きながらも、経済的に余裕のある高所得層には、高齢でも相応の負担が求めるようになっている。

 国民皆保険制度を持続可能なものにするための制度改正とはいえ、個人としては、できるだけ負担を抑えたいと思うのが人情だろう。そこで、覚えておきたいのが「基準収入額の適用申請」という裏ワザだ。

所得基準を超えても年収によっては
自己負担額が1~2割に引き下げられる

 70歳以上で、医療費の自己負担割合が3割になるかどうかは、「所得」によって判断されることになっており、具体的には次のような基準がある。

・70~74歳で、会社員やパート職員などで勤務先の健康保険加入者は、標準報酬月額(平均月収)が28万円を超えた場合。

・70~74歳で国民健康保険の加入者、75歳以上で後期高齢者医療制度の加入者は、前年の住民税の課税所得が145万円以上。

 自分の自己負担割合は、70~74歳の人に配られる高齢受給者証、健康保険証のいずれかを見るとわかるようになっており、上記の基準を超えると、現役並み所得者に分類されて、原則的に3割負担になる。

 だが、住民税の課税所得は、実際の「収入」と乖離することがある。